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2018年 05月 20日
感想_NYの「食べる」を支える人々
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心は早ニューヨークへ。アイナ・イエロフ『NYの「食べる」を支える人々』読了。調査報道ジャーナリスト、ノンフィクション作家である著者が、ニューヨークの飲食業界に携わる人々の仕事を聞いて回った1冊。一流シェフから、パン屋さん、老舗の3代目や4代目、ケータラー、食材店オーナー、牡蠣の殻剥き職人などなど、表舞台には出ない人たちの小さな物語が、ニューヨークと言う街のワンシーンを作っている。

今年の11月にニューヨーク旅行を予定しているため、その予習本と位置付けて読みました。発売は2017年の9月。出てくるのは上にも書いたように、市井の人々と言っていい人たち。一部スターシェフのような人もいるようですが、日本人が知るレベルではなさそうです。知ってたのは、ドミニク・アンセルと、ステーキ店のピータールーガーくらいかな? あとスシナカザワは「情熱大陸」で見てたような気がします。

そんな普通の人たちの仕事の話、しかも華やかなステージではなく舞台裏。驚きのエピソードが満載というよりは、本当にちょっとしたルポ記事という感じで、あんまり面白くもありません。どれだけ下積みがきつかったかとか、時代とともにお客さんも変わったとか、まあそういうもんだろうね、くらいの。だけど、読み進めるうちにちょっと感じが変わってきます。

それは、一人ひとりのドラマは大したことがなくても、同じ飲食業界ながら様々なルーツ、スタイルの人たちが出てくることで、徐々にニューヨークと言うメガシティを織り成す大河ドラマのように思えてくるのです。移民の子もいれば、アメリカの片田舎から出てきた人もいれば、マンハッタン育ちもいる。まさしく人種のるつぼ、全員が主役であり脇役。それがこの街。

「すべての人には語るべきものがある」が僕の思想の中心にあるけれど、まさにそれを地でいく内容だったのです。そしてそれに気づくと、ニューヨークにはあまりにも膨大な物語が秘められているのです。飲食は一番日常で、すべての人に関わる部分だけど、きっと「ファッション」でも「音楽」でも同じような展開は成立するような気がする。さらに言うと、東京でも成立するね。

もう一つ、出てくる人はみんな相応の情熱を持ったプロだな、と。人生を司るのは情熱なんじゃないかなとも思いました。もちろん出てくる人たちがみんな何かしらの意味での成功者だからなんだけどね。挫折した人たちもここに織り込めたらまた違った手触りになるんだろうな。

行ってみたいお店もいくつかあって、ニューヨーク熱が静かに高まりました。ただ、ニューヨーク好き以外にはあんまり刺さらない本かなぁと思います(飲食業界の人にも特段刺さらないと思う)。原題は『FOOD and the CITY』。11月が楽しみです。オータムインニューヨーク!(向こうの11月はもう冬かしら)



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by april_hoop | 2018-05-20 00:00 | 出版
2018年 05月 08日
八丈島はいいところ。最終話
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4日目、最終日。ここでトラブル発生。なんと、強風のため飛行機欠航の恐れが!

実は2日前の時点で、お店の人から飛行機欠航の可能性があるという話を聞いていて、ANAからもメールでその可能性のお知らせが来ていたのでした。欠航→帰れない→宿無しかつ、以降の日はそれはそれで飛行機が満席続き。これどうしたらいいんでしょうか?

唯一飛行機に空きがあったのが翌日のだったので、そっちに振り替えてみたけど、今日欠航するのかどうかはまだわからない。帰れるなら帰ったほうがいいに決まってるから、やっぱり予約を戻そうかと思って問い合わせたら明日の飛行機が飛ばないわけじゃないのに、振り替えはできないという回答。ムムム。

よくわからなくなったので、とりあえず朝一で状況確認がてら空港に行ってみたら、飛ぶかどうかはまだ全然わからない(というか滑走路が短いから、超追い風の時の着陸がむずいんだそうで、到着できるかが問題なんだそう。折り返し便のため)。でも、キャンセル待ちを受けてくれて、明日の予約はキープしながらも飛べば帰れるということに。よかったー! 神対応ありがとう! あとは到着しなかったら、つまりは入島できなかった人の宿が空くはずだから、宿はなんとでもなるだろう。

先行きは不透明だけど、最悪は回避できそうなので安心して、島の古民家カフェ、中之郷さんへ。沖縄みたいな石垣の中の雰囲気あるところで、明日葉スコーンとコーヒーをいただく。息子は早々に昼寝をしている。のんびり最後の時間を過ごして、フライトが迫ったので空港へ。

飛行機は、折り返し可能性ありの状態で羽田を飛んだそうだ。予定時刻は近づいている。空港の屋上に出てみると、ものすごい強風で立っているのも一苦労レベル。これは着陸できないというのも頷けるな…。頷いてる場合じゃないけど。

まあ気を揉んでも仕方ないので空港レストランでお昼ご飯を食べながら窓の外を見る。アナウンスが流れる。着陸に苦戦してて、上空で風を見ながら待機しているそうだ。着くのか、着かないのか…。再びアナウンス。周囲に緊張が走る。「30分後めどで着陸します」とのこと。そしてその時は来た! 無事着陸〜!! 当然、全員で拍手ね。この一体感最高だよね。あーよかった。

ということで定刻よりは遅れたものの、無事に帰ってこれたのでした〜。最後に島っぽいトラブルも付いてきて、のんびり時間と、ちょっとのハラハラとを味わえる良き旅になりました。子連れじゃなかったら、物足りないかもしれないくらいののどかな場所だったけど、今の僕たちには丁度いい旅先でした。釣りやダイビングが人気のようなので、この子がお鉢巡りできるレベルになったら、また来たいなー。

それから最後に一つ。東京都が、「しまぽ」という島で使える電子通貨を発行していて、一言で言うと、7000円で1万円分の電子通貨が買える、ということです。僕らが泊まった宿泊施設でも使えたので、宿泊費5万円のところ、3万5000円で泊まれてしまったということです。超お得でしょ。使えるのは加盟店のみなので注意は必要だけど、宿泊、食事、お土産の主要どころはカバーしている印象でした。スマホから登録・購入できるので、伊豆諸島など東京の島に行く人は、ぜひご覧あれ。



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by april_hoop | 2018-05-08 00:00 | 旅情
2018年 05月 07日
八丈島はいいところ。第4話
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八丈島の旅、3日目。主要コンテンツはやり終えたので、のんびりと島巡りに出ます。

まずは、息子を遊ばすべく公園探し。どこかに児童遊園ないかなーと探したらありました。八丈植物公園というところの裏手が、それでしたので、ひとしきり公園遊び。地元っ子が集まるのかと思ったらそうでもなく、旅行者親子がまばらにしかいないような。

あれですかね、都会だと自然を求めて公園探すけど、こんだけ自然がありふれてれば、公園に遊びにいく意味とか全然ないのかもしれませんね。日常全てが遊び場というか。

てことで行きがかり上、植物公園もチラ見。南国らしい風景で気持ちの良いところでした。ランチは、島の中心部の港町食堂さんへ。名前と、海の家風の雰囲気に惹かれたけど、うーん、普通でしたかね。

息子の昼寝からの寝起きが機嫌悪く、港町食堂さん向かいの本屋でお茶を濁そうとしたら、機関車トーマスの本が欲しくなってしまい、ここまで来てどこでも買える本をお買い上げ。本人の機嫌が戻ったのでよし。

お次は、八丈随一のカフェであろう「空間舎」さんへ。集落から離れた海の近く、結構なけもの道のようなところ(車で入れますけど)を行ったところに突然現れる一軒家。店内は洒落たログハウス風で、都心でも戦えそうなクオリティ。これまた長居できるなーと思ったのですが、子供ぐずり早々に退散。。島内ドライブに繰り出すことに。

島は車で1〜2時間で一周できるくらいですかね。途中、滝見のスポットをプチトレッキングして、最後は「見晴らしの湯」へ。その名の通り、高台にある温泉施設で、本当に絶景でした!! ここは地元の方と旅行客が半々でごった返してましたが、人気も頷けるね。がしかし、オムツ取れてない子は入浴禁止だったので、幼児連れの方はご注意ください。

日暮れにはまだ時間があったので、最後、またも初日の海岸へ。すると、またも海亀発見!! ちょうど地元っ子がいたので、この辺りは海亀がよく見えるの?って聞いたら「初めて見ました!嬉」っていうリアクションで、僕たちも嬉しくなっちゃいました。どうやら貴重なものが見られたようで。

そんなこんなで日が暮れて、今日ものんびりした1日が過ぎて行ったのでした。ちょっと疲れたので、晩御飯はスーパーで買ったお寿司とかを部屋でサクッといただいて、これはこれで悪くないのでした。



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by april_hoop | 2018-05-07 00:00 | 旅情
2018年 05月 06日
八丈島はいいところ。第3話
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八丈富士を降りてお昼ご飯は、名代一休庵さんへ。名物は明日葉を練りこんだそばアンドうどん。てことで僕は冷やしたぬきをオーダー。緑色のおそばは、コシもあって美味しかった! 明日葉の天ぷらもついてるよ! うどんの方は太めのモチモチでこれも一食の価値あり。

昼寝に入った息子を抱え、蕎麦屋から徒歩1分のジャージー牛乳カフェへ。スーパーの横についたプレハブ感ある佇まいだけど内装は黒基調で洒落た作り。カウンターには電源まで完備と今時仕様。

ウリはもちろんジャージー牛乳のソフトクリーム。さっき食べたばかりなのにまたオーダー。できたてだけあって絶品〜! ほかにもプリンやクッキー、ケーキといろいろあったのでまた来たいレベルだわ。

しばらくゆっくりして、その後は南原千畳敷という景勝地へ。ここは海に流れ出した溶岩が固まった場所で、黒い奇岩が広がる場所。海の先には隣の島も見えて、なおかつ夕日スポット。これはこれで自然の力を感じられる良い場所でした。

夜までは時間があったので、島を半周ドライブして、再び昨日の底土海水浴場に行くとまたもウミガメに遭遇。近くにいた地元っ子に、こんなにいつもいるの?と聞くと、え、私たちもここでは初めて見ました!とのことだったので、レアだったのかも。

夜は湖庵とあう郷土料理居酒屋へ。魚中心に美味しいひと時を楽しみました。今日も大満喫の八丈旅なのでした。

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by april_hoop | 2018-05-06 00:00 | 旅情
2018年 05月 05日
八丈島はいいところ。第2話
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2日目。快晴です! 改めて目の前が海というのは素晴らしいな。朝日とともに目覚めて、起き抜けに海を見るだけで、幸福感がすごすぎる。日常になったらまた別のものになるんだろうけど、旅行者には格別です。どうでもいいけど、「どこから来たの?」と聞かれたら「東京です」って答えちゃいそうだけど、八丈島も東京都だから答え方には注意しよう(誰にも聞かれなかったけどね)。

今日の予定は、八丈島のシンボルでもある八丈富士の7合目にあるという牧場に行くこと。そこまでは車でつるっと行けちゃうそうなので。そんなに期待してなかったけど、これがとても良くってさ。

何がいいってまず景色が素晴らしくいい! 八丈富士は850mくらいの山ですが、その7合目でも十分な見晴らしで、眼下に空港、集落、そして海岸線が見えて最高です。空気も爽やか! そしてのんびり放牧される牛たちにも妙に癒される! 外人さんと写真撮りっこして、ここでのんびり本でも読んだら最高だろうな〜。ちなみに牧場のおじさんがいうところ、これだけの快晴は八丈島では1割くらいしかないそうです。

すると2歳の息子が、山頂を見て「お山登りたい」と言うではないですか。もちろん僕も登りたかったのですが(そこに山があるのなら)、ちょっと幼子には負担かなーと思って自重してたけど、本人が登りたいなら登るしかありません。登山口は牧場から車で1分のところで、山頂までは約45分とのこと。まあ楽勝でしょうよ。

しかし楽勝ではありませんでした。登りたいと言った本人が、オール抱っこを要求してきたため。登山道は、ずーっと石段で、中間地点でわかりましたが全部で640段でした。早々に息が上がり、汗だくになりながら、とりあえず登頂には成功。しんどかった。なお、装備は普通の半ズボン、ランニングシューズ(ナイキのフリー。登山には不向きだった)、長袖Tシャツ、キャップ、普通のリュック、でした。急ですが、健康な方なら誰でも登れると思います。

疲れたけど、それでも最高でした! 眺望はさらに素晴らしく、山頂自体の景色も抜群です。休火山にして、火口がここまで植物に覆われているのは珍しいとか。火口には浅間神社が祀られ、お鉢巡り(約45分)も楽しそうでしたが、子供が眠そうだったのでそれはまたいつの日か。

八丈富士、最高だったけど、写真と文章では伝えきれませんね。あの石段を踏みしめる足、広がる緑の匂い、澄んだ空と間近を流れる雲、汗ばんだ肌を撫でる風、登頂の達成感、本当に素晴らしいものがありました。

下山後、牧場に戻ってご褒美にソフトクリームをペロリ。ここの売店は、GWとお盆(夏休み?)期間だけオープンするそうですよ。

この旅のハイライトであり、八丈に遊びに来て本当に良かった。そう思える八丈富士登山でした。



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by april_hoop | 2018-05-05 00:00 | 旅情
2018年 05月 04日
八丈島はいいところ。第1話
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GWは八丈島に行くことにしました。セレクトの理由は、GWでも比較的空いてそうなところ。比較的安価なところ。子連れで楽しめそうなところ。のんびりできそうなところ。

2年前のGWに高知に行ったのですが、ここがGWでも混んでなく飛行機も取りやすく(すなわち安く)、これに味をしめて似たような行き先を探しました。まあ、初めてのところはどこだって楽しむ自信はあるので、ピンと来るかどうかの直感次第というところもあるのですが、ANAのマイル特典利用で行こうと空港一覧眺めて、「あ、八丈島良さそう」となったのでした。結局、一緒にマイル割を使って妻と2歳児を連れての旅行となりました。一緒にマイル割りって本当にお得だと思うのですが。

さて、事前情報は結局ゼロで臨みました。こんなのは初めて。理由は多少忙しかったのもあるし、GWよりも11月に行くことになったNYに気持ちが飛んでしまったため(そっちの情報はせっせと調べている)。

第一目的がのんびり体を休めるだったので、まあ良かろうと。のんびりするために3泊にしたしね。レンタカーの予約もすっかり忘れてて2日前に電話。5社くらい満車で焦ったけど、舟山レンタカーさんに空きがありました。あぶねー。

という感じで羽田からわずか55分(飛行時間は約30分!)とあっという間。通勤より楽だわ(嘘です)。天気予報を見ていると、最高気温が都心より低くて、南国イメージとちょっと違うなーと思っていたものの、着いてみると南国っぽい湿気があって都心より暑く感じました。これこれ、求めていたのは。

空港のベルトコンベアが故障したおかげで荷物でるのに時間かかったりもしたけど(そしてうちのと同じ黒リモワをロクに確認せずに持ち出した人がいたから、慌てて追いかけて「確認してください」って頼んでしまったよ。結果ご本人のものでした。失礼しました。いやだってあれで荷物取り違えられてたら悲劇ですからね)、順調そのものです。

クルマを借りて、隣のスーパーへまずは立ち寄り。ご当地感を期待したけど、いたって普通のスーパー。そうか、地方創生の時代とはいえ、島独自の産業ってそうそうないよなーなどと思いつつ、ホテルへ。ナビなしレンタカーで戸惑いながらもチェックイン。

海に面した「リード アズーロ」さん、さっぱりとキレイなプチリゾートホテルでした。フロントに、島のいろんな情報が集まっていて、これを頼りに晩御飯の予約。一番人気らしい「梁山泊」さんは予約取れず、「宝亭」なる地元海産系のお店を取りました。

息子がちょうど昼寝に入ったので私も一休みして、起きたところで晩御飯の時間まで海でも見ることに。八丈はほとんど砂浜のない島だそうですが、小さな底土という海水浴場へ。お天気が悪くて黒砂とどんよりした雲でインスタ映えと真逆な雰囲気が逆に良く、波打ち際に名物のトビウオらしきものが跳ねるのが見えたり、勝手に楽しんでいたら、あれ、なんか、大きい亀がいるじゃない。

ウミガメだよーーー! まさかのウミガメ見られました。しかも2匹もいた! 全然期待してなかったけど、思わぬところで生まれて初めての野生のウミガメ体験。もうなんかこれだけで来て良かったと思えたよ!

そんなこんなで夕食の時間。予約していた島寿司と刺し盛りに加えて、天ぷら盛り合わせと焼き魚をオーダー。どれも新鮮そうで肉厚な近海物メインで美味しくいただきました。やや、お値段高めのお店だったけど、このくらいの贅沢は許されるでしょう。ホテルに帰ってお風呂はいって、早めの就寝。

八丈旅、楽しくなりそうです。



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by april_hoop | 2018-05-04 00:00 | 旅情
2017年 07月 15日
その瞳の奥にいるのは君だった。
c0160283_14270755.jpgc0160283_14270771.jpg豊田市美術館で、7/15〜9/24まで開催される「奈良美智 for better or worse」を鑑賞した。奈良美智といえば、独特の少女の絵画がパッと思い浮かぶ。キッとこちらを睨むような反抗的な目もあれば、どこか危うい脆さを秘めた目もあれば、ディテールは少しずつ異なるけど、大まかなところはだいたいみんな同じものをイメージするんじゃないかと思う。でも、今回の展示で、そのイメージはいい意味で覆された気がする。

奈良美智は愛知にゆかり深い作家。そもそもが愛知県立芸大で学んでいたこともあり、7年ほどこの地で暮らしていた。その後ドイツに渡るが、帰国後も折に触れ愛知に戻っては、旧交を温めたり、制作をしたりしていたのだそう。そして、震災後に筆を持てなくなった時も、母校で学生を教える中でもう一度美術に向き合うことで、再び描きたいという意欲を自然に取り戻せたのだそう。ということで、ここは作家にとってもはや故郷と呼べる場所なのだそう。

前振りが長くなったけど、作家としての重要なルーツである場所での個展ということで、学生時代から時系列に沿って、代表作が展示され、最後には新作が登場。回顧展としても成立しつつ、未来を予感させる充実の展覧会だった。海外所蔵で、日本初公開作品もあったり、これだけの奈良作品が一堂に会する機会は、日本では今後何十年もないかもしれないレベルだそう。

改めて、学生時代の作品は今とはだいぶ趣が違って、まだまだ複雑な要素を残している。それが90年代以降、徐々に余分なものは削ぎ落とされ、愛らしくもあり憎らしくもあるフォルムへと落とし込まれていく。その表情は挑戦的であったり、孤独であったり、カウンター感が満載。しかしやがて2000年代頃から、人物ははっきりと正対する構図となり、2010年代以降は表情も実に穏やかに、瞑想的になっていく。はっきりしていた輪郭は徐々に自然なラインとなり、色彩も徐々に淡い抽象性を出し始め、そして最新作ではトーンを少し落とし、より内省的にも見えてきた。少女というモチーフは一貫してありながら、こうして時系列で俯瞰することで、明らかな変化を感じ取ることができるのも、今回の展示ならではだろう。

展示作品は約100点。木彫などの立体作品もあるけど、ほとんどは絵画で、でもそれこそが作家のアイデンティティだしいい構成だったと思う。また、スペースをゆったり贅沢に使っていることで、余分なことを考えずに作品と向き合えるように作られているのもいい。ちなみに最初の展示室には、奈良さん所有のレコード、書籍、人形などが持ち込まれ、彼のアトリエを再現。こう言う展示は過去にもあったけど、質量ともに過去最高だそう。そしてレコードジャケットは自分にとって画集だったという通り、作品との共通点が見られるのも面白いところ。あらゆる意味で奈良さんのルーツと足跡がはっきりと感じられる展覧会。意味ありげにこちらを見つめる作品の瞳の中に写っているのは、奈良美智その人なんだなと気づかされます。そしてそれは同時に、僕自身のことも写しているような気がしました。一貫したスタイルでありながら、しなやかに変化を続け、30年以上にわたって一線で制作をし続けるその静かなパワーにも圧倒されます。奈良ファンはもちろん、そうでない人も、特に美術が好きでなくても、必見の展覧会。奈良さんの絵は、どうしたってキャッチーだしね。

ところで、初めてやってきた豊田市美術館は、とんでもなく素敵な美術館でした。建築は谷口吉さん。美しい直線と、和の趣を感じる静けさ。高台に位置して街を見下ろせるのもナイスで、庭も広くて気持ちいいです。レストランも素敵そうだった。ぜひこの夏は豊田市美術館へ。素晴らしい時間を約束します。



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by april_hoop | 2017-07-15 00:00 | 文化
2016年 11月 03日
AMAZING TOYAMA 05
c0160283_22304687.jpgc0160283_22305006.jpgc0160283_22305433.jpg富山旅、最後の目的地は高岡です。特に何がってこともないのですが、古い町並みと工芸が盛んと聞いたので、行ってみようかと。とりあえず、大仏があるということなのでそれをまずは詣でて、そっから散策をスタートさせました。

なるほど古い町並みが確かに残ってて、こういうところにはきっと小洒落たカフェとかがあるに違いないと探したらありました。COMMA, COFFEE STANDさん。でも法事だかで臨時休業ということで残念。でもそのそばには、はんぶんこなる雑貨のセレクトショップが。ここは富山ゆかりのものを中心にいろいろセレクトしてました。そういえば、フタガミってブランドも富山発だったのね。そう、高岡は寺町で、鋳物の町だったのです。そんなこんなで、古い建物が連なる山町筋を練り歩き、ぐるり一回り。最後に、大野屋さんという老舗の和菓子屋に遭遇すると、「高岡ラムネ」という名物があって、このパッケージがものすごくお洒落だったのでお土産にしました。これもらったら嬉しいわ〜。最後山町茶屋さんで小休止。

そんなこんなで、最後に立ち寄ったのは高岡から車で10分ほどにある瑞龍寺さん。これがめちゃくちゃカッコよかったのです! 富山唯一の国宝というのも納得、スクエアな敷地とそれを取り囲む回廊、すべてがシンメトリーで、美しくデザインされた芝生、そう、ものすごくデザインコンシャスなんです。中心の仏殿も迫力ありつつ洗練されていて、お寺でこんなにも惚れ惚れしたのは初めてかも。組木が緻密でクールなんだよな。あ、そうか、隈研吾さんの建築、瑞龍寺からインスパイアされてると見たよ。かなり共通する気がするもの。回廊も均等に窓が置かれて、本当に隙がない。これは、必見というか、このために富山に来る価値あるわ〜。いやー最後にいいもの見れました。

瑞龍寺を後にして、空港へとひた走り、一泊二日の富山旅はこれにてフィニッシュ。帰りの飛行機も息子は特にぐずることもなく、最後羽田から家までのバスはさすがに疲れたのかグズグズしちゃったけど、トラブルもなくいい旅でした。黒部とか、白川郷の方とか、行きたいところはまだまだあるからまた富山こよっと。てか富山マラソン出たくなっちゃったね。来年は金沢マラソンと同日開催らしいですぜ。うわーどっちに出ようか迷うわ〜。



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by april_hoop | 2016-11-03 00:00 | 旅情
2016年 11月 02日
AMAZING TOYAMA 04
c0160283_12342141.jpgc0160283_12342561.jpgc0160283_12342866.jpg一夜明けて、富山2日目。ホテルを出てライトレールに乗って富山駅前へ。すると「AMAZING TOYAMA」なるフォトフレーム発見。これ、行政がシビックプライド醸成のために仕掛けたシティプロモーション事業だそう。城址公園にも同じフォトフレームがありました。後から知ったけど、富山は「コンパクトシティ」構想てのを掲げて、ドーナツ化した街を、もう一度中心部に人を戻そうという計画があるそうで。うまくいってないという記事を見たけど、外から来た人間的にはいろいろやってて魅力的だなと思ったので、中長期的に成功すればいいな、と思います。

さて、今日は車を飛ばして近郊ドライブへ。まずはきときと市場で朝食を食べるべく車を走らせますが、その前にちょっと寄り道。富山市舞台芸術パークというところに、隈研吾さんが手がけたカフェがあるというので。市内から車で15分くらいだったかな、ありました、ありました! もう遠目にすぐわかりますね、隈さんの建築だって。特徴的な角材の外壁。これ、積み木みたいに積み上げているそうで、いざとなったら元の角材に戻せるらしいです。まだ営業前だったので、中には入れませんでしたが、楽しめました。しかしこういうものがしれっとあるあたり、富山やっぱ意識高いのか?

さて、最初の目的地、新湊きっときと市場へ到着。でっかい橋を渡ってきたのですが、ここも富山マラソンのコースだそうで、きつそうだけど絶景だなーと思った次第。市場は、いわゆる観光市場になるんですかね。魚介系と土産物を売りつつ、食堂が併設されているというやつ。名物の白えびの丼モノを頂きまして、やはりこういうところのご飯は一定の美味しさはあるよね。感動とまではいかないけれど。

で、ここから少し足を延ばすと、内川という町があるのですが、これがなんと日本のベニスと呼ばれているというじゃないか! そりゃいくしかないわーと。超レトロな漁村という感じで、本当に小さな町だったけど、時が止まった感じで良かったな。運河の両岸に船がもやってあって、並ぶ建物は木造だけど調和がとれているという意味では確かにベニスっぽい。ちなみに、ここにかかる橋は全部デザインが違っていて、結構エキセントリックな橋もあったりして面白いです。それから古そうなパン屋で揚げパン60円買ったり、和菓子屋でまんじゅう買ってなぜか消費税分まけてもらったり、なんてエピソードも。物好きにしかお勧めしないけど、でも行って損はなかったなーと思いました。

ちょっと飛躍するかもしれないけど、ベニスがあったり、トラムが街中走ってたり、山並みが美しかったり、どこかヨーロッパぽい雰囲気あるなーと思いました、富山。ますます好きになっております。



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by april_hoop | 2016-11-02 00:00 | 旅情
2016年 11月 01日
AMAZING TOYAMA 03
c0160283_21001500.jpgc0160283_21003464.jpgc0160283_21004190.jpg富山に来た理由の一つは、2015年にオープンした「富山市ガラス美術館」に来たかったからなのでした。これ、キラリという公共施設の中に入っていて、建築は隈研吾さん。富山は薬の街として有名ですが、薬ビンも多く作っていたため、ガラスの街という顔もあるそうです。ということで外観はそのガラスを活かしたデザインでインパクト抜群。そして中に入ること、これはもうまさにザ・隈研吾という仕様。圧巻でございました。美術館は複数フロアにわたって展示室があるほか、図書館も備えてて、これがまたおしゃれでね。こんなところで読書やら勉強やらしたかったですわ。

さて、肝心の美術館は、常設展と企画展の2本立て。常設展は右の写真がそれで、現代ガラス作家の巨匠と呼ばれるデイル・チフーリさんの作品が鎮座。この派手さ、インパクトは、草間彌生クラス。これ以外の作品も、有機的な造形とカラフルな色彩で、思わずため息もれましたとも。もともとはまっとうそうなガラス作品でしたが、だんだんととんがっていく様や屋外での大がかりなインスタレーションの様子なんかも見れてよかったわ。企画展も、ユニークな作品が並んでました。いやー、想像以上のインパクトだったな。満足。

外はすっかり暗くなり、夕ご飯は美術館とホテルの間で見つけた居酒屋さんへ。特に可も不可もないのに、お魚中心に美味しかったわ。さすが富山。さらに、「富山づくり」がちょうど少し前にリリースされたばかりでオススメされ、まんまと頂きましたとさ。来年にはさらに富山県立美術館もできるとかで、それもまた楽しみだなー。どんどん富山の魅力にはまってきますわ〜。



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by april_hoop | 2016-11-01 00:00 | 旅情