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2019年 08月 07日
感想_『WE ARE LONELY,BUT NOT ALONE 現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ』
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言ってることはよくわかります。佐渡島庸平『WE ARE LONELY,BUT NOT ALONE 現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ』読了。ドラゴン桜の編集者としておなじみ、コルク代表の佐渡島さんの著書。前作『僕らの仮説が世界をつくる』も読んでます。今回は先輩から勧められまして。今の時代に合う、コミュニティの良きあり方についての現時点の考察がまとめられていました。

かなり理性的に考えられている内容だったかな、と。時代の捉え方や、今の分析はさすがな明晰で勉強になりました。コルクに輝かしい実績がある(と思う)ので説得力もあるし。

主旨まとめるのも難しいのだけど、人はみな自分の属すべきコミュニティを求めるインサイトがある、と。情報過多の世の中で適切にフィルタリングしてくれる場所。自分と近しい感性を持ち合わせた人が集まる場所。そんな健全なコミュニティを作るにはどうしたらいいか、という感じかな。

佐渡島さん自身も、まだ考察の最中という感じで、1年後2年後には変わってそうな感じも大いにあるけど、それがこの本の狙いのひとつで、あえて仮説を世に出すことで、読者に問いかけ、その反応を見て上書きを続ければいい、という考え方ぽい。佐渡島さんが既に持っている自分のコミュニティを実験場にしてるってことかな。最近のITにある、とにかくリリースしてどんどん直していくというやり方を、出版においてもテストしているのでしょう。出版界はなかなかデジタライズしきれず、インターネット世界に最適化されてない部分を、コミュニティを使うことで突破しようとしています。

本としては、ビジネス視点での話が中心。情報であれモノであれサービスであれ、それらを届ける方法としてのコミュニティの必要性。出版も音楽も映画もプロダクトもイベントも、売り場や広告だけじゃ潜在顧客に届かないから。まずはコアな顧客たりうる人でコミュニティ作って可視化しておき、プロセスも共有しサポーターになってもらい、そこに火がつけばあとは自然延焼するよね、というロジック。それの再現性をどう持たせるか。

なので、これはコミュニティに所属したいと願うユーザー側の視点ではなく、モノがなかなか届かないというビジネス課題に対する解決法としてコミュニティを論じている本です。

よーくわかる。納得できるし理解できる。だけど、ユーザー側の視点がもっと欲しかった。果たして我々はコミュニティを、どこまで欲しているのか。タイトルにもあるみな孤独であるという仮説はあれど、そこはあまり掘り下げられていない。僕は、確かに孤独はあるし、それを埋めるコミュニティはほしいけど、人はもう「これが好き」という固定化したものよりも、流動的な気分に従ってその時々に居場所を自由に変えてしまうのではないかと思うよ。

今日はここ、と思ったけどめんどくさいからあっち、と思ったけど別にもうどこでもいいや、みたいに。まあ、その選択肢のためにいろんなグループを、行き来するのかな。それじゃインスタのタグをフォローしてるのと変わらんな。やっぱりもう少し身体性を出したいな。ネットのグループではなく、会える人たち。そこに不安や摩擦が生まれるとしても。それを避けて、なめらかさとしてしまうと、いかんせんヌルヌルとサラサラの間の変な感じになりそうだけども。

ちょっと話がまとめづらいのは、現在進行形のまま上梓した本書の性格でもあるし、僕自身まだ答えを見つけあぐねてるから。あぐねるくらいなら、出して問え、というこの姿勢こそが、本書で最もためになる部分なんだと思い当たりました。

まずはやってみて、ですね。ただ、コミュニティを通さないと、いかなる情報も届けたい人のもとに届かない、というのは真理だと思います。




by april_hoop | 2019-08-07 00:00 | 出版


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