2018年 05月 20日
感想_NYの「食べる」を支える人々
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心は早ニューヨークへ。アイナ・イエロフ『NYの「食べる」を支える人々』読了。調査報道ジャーナリスト、ノンフィクション作家である著者が、ニューヨークの飲食業界に携わる人々の仕事を聞いて回った1冊。一流シェフから、パン屋さん、老舗の3代目や4代目、ケータラー、食材店オーナー、牡蠣の殻剥き職人などなど、表舞台には出ない人たちの小さな物語が、ニューヨークと言う街のワンシーンを作っている。

今年の11月にニューヨーク旅行を予定しているため、その予習本と位置付けて読みました。発売は2017年の9月。出てくるのは上にも書いたように、市井の人々と言っていい人たち。一部スターシェフのような人もいるようですが、日本人が知るレベルではなさそうです。知ってたのは、ドミニク・アンセルと、ステーキ店のピータールーガーくらいかな? あとスシナカザワは「情熱大陸」で見てたような気がします。

そんな普通の人たちの仕事の話、しかも華やかなステージではなく舞台裏。驚きのエピソードが満載というよりは、本当にちょっとしたルポ記事という感じで、あんまり面白くもありません。どれだけ下積みがきつかったかとか、時代とともにお客さんも変わったとか、まあそういうもんだろうね、くらいの。だけど、読み進めるうちにちょっと感じが変わってきます。

それは、一人ひとりのドラマは大したことがなくても、同じ飲食業界ながら様々なルーツ、スタイルの人たちが出てくることで、徐々にニューヨークと言うメガシティを織り成す大河ドラマのように思えてくるのです。移民の子もいれば、アメリカの片田舎から出てきた人もいれば、マンハッタン育ちもいる。まさしく人種のるつぼ、全員が主役であり脇役。それがこの街。

「すべての人には語るべきものがある」が僕の思想の中心にあるけれど、まさにそれを地でいく内容だったのです。そしてそれに気づくと、ニューヨークにはあまりにも膨大な物語が秘められているのです。飲食は一番日常で、すべての人に関わる部分だけど、きっと「ファッション」でも「音楽」でも同じような展開は成立するような気がする。さらに言うと、東京でも成立するね。

もう一つ、出てくる人はみんな相応の情熱を持ったプロだな、と。人生を司るのは情熱なんじゃないかなとも思いました。もちろん出てくる人たちがみんな何かしらの意味での成功者だからなんだけどね。挫折した人たちもここに織り込めたらまた違った手触りになるんだろうな。

行ってみたいお店もいくつかあって、ニューヨーク熱が静かに高まりました。ただ、ニューヨーク好き以外にはあんまり刺さらない本かなぁと思います(飲食業界の人にも特段刺さらないと思う)。原題は『FOOD and the CITY』。11月が楽しみです。オータムインニューヨーク!(向こうの11月はもう冬かしら)



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by april_hoop | 2018-05-20 00:00 | 出版 | Trackback | Comments(0)
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