2017年 09月 16日
サンシャワー(森美術館編)
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東南アジア美術を一挙大公開中かつ、国立新美術館と森美術館での共同開催となっている「サンシャワー」。新美に続いて、森美術館編をお届けします。

森美術館は、まず入口手前の天井に、大きな像の立体が吊り下げられているところからスタート。最初のセクションは「発展とその影」。急速な経済成長を遂げる中で、中心部はグイグイ都市化してますが、その歪みをモチーフにしています。高速道路が出来たことで家を移さざるをえなかった家族。失われた古くからの生活様式。都市化することで経済的には豊かになるのかもしれないけれど、その中で損なわれていくものに光をあてる作品が多いですね。こういうのは東南アジア以外にもありますが、地理的に近いからかより身近に感じさせます。

「アートとは何? なぜやるの?」のセクションは、アートシーンが未発達ゆえにアーティストがコミュニティを作り、ワークショップをするなど市民を巻き込んで行われるプロジェクトを紹介。こういうのは東南アジアのパワーや熱気が伝わってきて、可能性を感じます。

そして、個人的に今回の展覧会で最も印象深かったのが次の「瞑想としてのメディア」。言葉にしにくいけど、古くからの土着的な価値観、宗教観に根ざした作品が紹介されています。今でいうマインドフルネスと近いのかもしれないけれど、西洋とは違う非物質的なもの、霊的なものへの信仰心とか、そういうものが、今こそ求められているような気がしました。世界は物質化し、そして今はインターネット上で高度に合理化された世界になってます。データとマーケティングが幅を利かせ、隙間を埋めるシェアリングエコノミーが次のスタンダードになろうとする今だけど、そういう西洋っぽい合理主義とはかけ離れた、東洋的な思想こそ、大事にすべきものなんじゃないかな、と。太陽神のヘリオスと花の陶器をひたすら並べて壁に貼った作品を見ながらそんなことを思いました。合理だけで生きていくのはしんどいのよ。

最後が「歴史との対話」。第一世代的なアーティストへのオマージュや、タブー視されていた戦争や抑圧の記憶の掘り起こしなど、過去と向き合う系の作品群。展示の一番最後は、頭上にカラフルな風鈴が大量に設置されていました。風鈴の起源て東南アジアなんだってね。そしてその風鈴は、あの涼しげな音を鳴らします。しかし、それは妙に不穏な響きにも聞こえます。物質としては色鮮やかで、東南アジアらしいポップな見た目なのに、どこか影や憂いを感じてしまう音色。ここまでの作品で、その複雑に絡み合った世界観を見てきたからこそ、そう感じたのかも。結局、森美術館側の展示も駆け足ながら1時間を要しました。映像作品はほぼ飛ばしてしまったので、本来ならば倍の時間をかけてじっくり見たかったけれども。

ということで、まずはとにかくすごいボリュームで、その歴史背景から独特な文脈が展開されるアートの数々でした。明らかに欧米の現代アートとは趣が異なるなぁと思ったよね。創作というよりも、メッセージ性がとにかく強い。でも、それだけ切実なんだろうなと思いました。東南アジアも先進国社会に取り込まれていくのか。それとも世界とは似ることなく、独自のスタイルを築くのか。アートを通して感じてみるのもオススメです。アート好きには是非オススメしたい展覧会でした。


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by april_hoop | 2017-09-16 00:00 | 文化 | Trackback | Comments(0)
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