2017年 09月 15日
サンシャワー(国立新美術館編)
c0160283_20592272.jpgc0160283_20593554.jpgc0160283_20593911.jpgc0160283_20594170.jpg
行ってきました、東南アジアの現代美術を集めた展覧会「サンシャワー」。なんと国立新美術館と、森美術館が、共同開催という初めての試み。まずは国立新美術館の方から見てまいります。ちなみに、サンシャワーとはお天気雨のこと。東南アジアに多い気象現象であり、そして晴れと雨が同時に存在するというところに、貧困と海外資本、かつての植民地かと独立など、複雑な現地の事情のメタファーにもなっています。なるほど。
サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで

さて、久しぶりの新美、改めてこの建築は素晴らしいよなぁなどと思いながら、展覧会場は2階のお部屋。そんなに大きくないんだな、なんて思ったけれど十分な迫力で、割と急いで見たけど1時間はかかりました。今回の展示は、2つの美術館合わせて9つのセクションに分かれていて、全部で86組の作家が出品しています。すごい規模だー。

さて、まずは「うつろう世界」のセクション。東南アジアの複雑かつ翻弄されてきた地理的な文脈から生まれたアートが展示されてますが、ここからもうなんだかつかまれました。複雑に変更されてきた国境や、民族の移動など、その歴史は本当に一筋縄ではいかず、僕なんかは普通に観光客としての視点しか持っていなかったけれど、そんな浅はかさが木っ端微塵になっていきます。第二次大戦後に、マレーシア、インドネシア、フィリピンを統合しようなんて考えがあったなんて初耳。「マフィリンド」という名前までついてて、その構想上の地図を現代の目線で描いた作品にも興奮。もちろんユートピアなんかを描いているわけではなく、3国だけでない海外諸国の事情も含まれた困難すぎるだろうそのパラレルワールドこそが、東南アジアの難しさを表してました。安易に「難しい」なんて言葉でくくってもいけないんだろうけど。

「情熱と革命」のセクションでは、第二次大戦後の各国の独立運動に、ベトナム戦争などもモチーフになった作品たち。もう見るからにヘビー級な作品です。東南アジアのアートは、森美術館で過去にも取り上げているけど、やっぱりこの戦争や貧困といった出発点がとても多く、そういう背景の知識が求められる部分が多い。「アーカイブ」のセクションは、未発達だった現地のアート界でもようやくアーカイブが始まっていて、その記録や資料が展示されています。

引き続き複雑なのが「さまざまなアイデンティティー」。民族と国が必ずしも一致してない現地で、さらには越境やら中華系やら欧米からの移住もあったりと、ルーツがさまざま。ポスターになっている作品<奇妙な果実>もここで展示されていて、黄色人種である自らのアイデンティティーを問うために作家自ら真っ黄色にボディペイントした「イエローマン」になって世界を訪ねるというやつ。自分も、在日韓国人という出自を持つだけに、この自分探し感覚はわかるきがするなぁ。

最後のセクション「日々の生活」は比較的ほっこり路線かな。歴史系とは一線を画した、日常のものや、風習・暮らしなんかを題材にとったものたち。一番インパクトがあるのが、床に敷き詰められた糸くずの中に、金のネックレスが9本混じっているというやつ。見つけたらもらえるらしく、マダムが頑張って探してました。その様子を眺めるのも作品の一部で、滑稽さや、人間の欲望がテーマ。どんだけ糸くず詰まってるんかいなと掘り返してみましたけど、だいぶ深かったわ。どこにあるかわかんないけど、見つけるの無理無理。なんてあきらめるのかどうか、みたいなところもテーマの一つとして問われている気もしなくはない。

いやー駆け足で巡るには厳しい質&量だわ。森美術館は別の日に改めようかと思ったけどここまで来て引き下がれないので一気にいきます!




[PR]

by april_hoop | 2017-09-15 00:00 | 文化 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://aprilhoop.exblog.jp/tb/27530218
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。


<< サンシャワー(森美術館編)      その瞳の奥にいるのは君だった。 >>