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2014年 10月 22日
感想_マリアージュ・マリアージュ hondana
c0160283_026546.jpgすっかり母だねぇ。金原ひとみ『マリアージュ・マリアージュ』読了。男と女が結ばれ、そしてふたりは子を持つ。女から母へ、男から父へ、そして訪れる関係性の変化。金原ひとみがその危ういバランスを描く、6つの短編集。
金原ひとみ『マリアージュ・マリアージュ』|新潮社

タイトルは、男との結婚のことと、子供との共存のそれぞれをマリアージュと表現して2つ重ねたように感じたかな。前作『マザーズ』も強烈な女性性と母性を展開した著者は、今作でもまた子供との関係をめぐるさまざまな物語を展開してきます。もうかつての攻撃的すぎる文体は影を潜め、すっかり母のそれ。でも甘やかな母性なんかは見せずに、ひたすら自己のアイデンティティを、男と子供との関係から求め続けるという感じ。弱ってるお母さんは読めたもんじゃないんじゃないかなと思うけれどどうなんでしょ。

ネガな感情も決して隠さないのは昔から変わってなくて、というか題材は変わったし、随分落ち着きはしたけど、生の感情を描き、目の前にあるものだけを捕まえるそのスタイルはなにも変わってないのかもしれないなと思う。小説という形をとってはいるけど、全然ファンタジーな要素はなくて、徹底してリアリズムを追求しているように思う。だからここに描かれる人物はみんな違うけど、でもどこかで似ていて、極端ではあるのに決して他人には思えない。つまり、誰もが多かれ少なかれ自分のどっかに重なるリアリティを持ってるんだよね。だから痛いけど、目が離せない。

でもそれは、自分がまだ親じゃないからそう思うだけかもしれない。果たして自分が親になったらこれをどんな風に読むのだろう。この感じとはかけ離れた愛情だけに満ち溢れた世界なのか、それとも自己嫌悪と責任感の間でやっぱり共感しちゃうのか。はたまた、はたまた。男子目線としては「仮装」のパパに共感しちゃったりもするし、「婚前」のちょっとしたホラーばりの展開に遺伝子って凄すぎるとか思ったりもする。「ポラロイド」はヤバイけど、「試着室」の痛々しさは失ったものの大きさに比例しているようにも思う。

エキセントリックなトゲはなくなったけど、静かにくすぶり続ける低温は相変わらず。作品ごと、金原ひとみが好きになっている気もします。すっかり読みやすいです。

by april_hoop | 2014-10-22 00:00 | 出版


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