2014年 12月 22日
信じることをもう一度
c0160283_221238.jpg素晴らしいコラボレーションでした。先月リニューアルオープンしたばかりの庭園美術館、その記念展示を見てきました。内藤礼さんの「信の感情」。心に迫るもののある、強くてしなやかな作品群でした。見れてよかった。
東京都庭園美術館|TOKYO METROPOLITAN TEIEN ART MUSEUM|内藤礼 信の感情 2014年11月22日(土)-12月25日(木)

修復によって、オリジナルの姿がよみがえった庭園美術館の本館。館内も外も、アールデコ様式がちりばめられた品格あふれる館が、素晴らしい輝きを放ってました。まず外観の印象からして綺麗になったなと思わせ、中に入ればまた壁一つ、装飾一つ、天井も床もすべてが光を放っているような印象。箱自体は変わっていないのに、きちんと手入れをすることでこんなにも美しくなるんだね。やっぱり元がいいものだからってのが大いにあるんだろうけれど。リニューアル前とは全然違うと思いました。

あらためてアールデコの意匠の素晴らしさね。意識しなければ気づかないであろう細部にまで技術と感性が注ぎ込まれてるのがわかる。今の建築とかでこういうものを見ることってあまりないのもあってすごく新鮮だったな。普段とりたてて興味があるわけでもないのに。こういう家を今建てたらどうなるんだろう。それも面白いかもなとか思ったり。

そして、その中に密やかに、でも確かな存在感を放つのが内藤さんの作品。小さな人型の木彫の作品。窓際に、鏡の前に、光のさす床の上に、ひっそりと佇んでいる。いったい彼らは何を見ているんだろうと思って、彼らの目線の先を見ようとした。そのうち、鏡の前にいる彼らを覗き込む観客の無防備な表情が、鏡に写りこむのを見る作品なのかな、とかも思った。そして北のベランダで、外のペリカンの石像を見つめる小人を見て思った。彼らが何を見ているのかはわからない。でも、何かを見ている、きっと何かがそこにある、そういう風に思わせることが狙いなんじゃないかなって。

それは、アールデコの繊細さかもしれないし、柱の木目かもしれないし、大理石の冷たさかもしれない。ここで暮らした人たちの記憶や時間かもしれないし、いやむしろ何も見ずに考えているだけなのかもしれない。それを考えるきっかけをくれているんだろう。この素晴らしい建築を邪魔せずに、最小限の存在で最大に効果を発揮させるすごい作品だなって思ったよ。これぞ小さな巨人。

そして、新しくできた新館のギャラリーに進むと…展示されてたのはまさかの真っ白なキャンバスが10点ほど。よく見るとわずかにオフホワイトのグラデーションがあるかな? 円形っぽいのが描かれてるかな? でも本当にかすか。だけどそれがとても清々しくて。これもまた何も描いていないようだけど、きっと何かが描かれているんだろう。そんな風に思わせます。よく見ると(踏みつけそうだったけど)、ひとりだけ小さな巨人がいました。彼の目線に立つために床に這いつくばってみた。特になにも見えなかった。

タイトルは「信の感情」。信じること。今、無条件になにかを信じにくい時代だからこそ、「きっとそこになにかがある」と信じることは尊いなと思った。あるかどうかは誰もなにも言っていない。でも、この小さな巨人や真っ白なキャンバスが、なにかあるよと告げている。それは、信じるに値するというか、信じてみたいな、って思うのでした。

豊島美術館も大感動だったし、やっぱり内藤さんすごいアーティスト。思わずミュージアムショップで、内藤礼さんデザインのTシャツを購入。ボディに楕円が描かれてたけど、あれはもしかしたら豊島美術館の穴の形だったのかな?
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by april_hoop | 2014-12-22 00:00 | 文化 | Trackback | Comments(0)
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