2014年 11月 15日
感想_ソロモンの偽証(第1部 事件 上巻)
c0160283_1531495.jpg宮部みゆき『ソロモンの偽証』第1部 事件 上巻読了。かなり久しぶりの宮部みゆきは無茶苦茶おもしろく、文庫で6巻の大長編だし年内に読み終わればいいかなくらいで読み始めたけど気づけば睡眠削って読むレベルでした。
宮部みゆき『ソロモンの偽証』|特設サイト|新潮社

舞台は中学校。雪の降るクリスマスの夜、2年生の柏木卓也は学校の屋上から落ち、死亡した。ひと月前から不登校で、同じ学年の不良3人とのトラブルもあった柏木だったが、捜査の結果自殺と結論づけられる。しかし、冬休みが終わり3学期が始まったところで事態は急変。それは、学校と、同級生で父親が刑事である藤野涼子のもとに、「柏木君は殺されたのだ」という告発状が届いたから。手紙を書いたのは、不良たちにいじめられていた、同級生の三宅樹里だった。

最近の宮部先生の作品がどうなのか知らないけど、『理由』を彷彿させるひとつの事件をめぐる大群像劇。中学2年生が中心になりながら、学校、警察、親、たちの世界を徹底的にリアルに、だけど愛情をもって描いております。まだまだ物語は始まったばかりでどんどんエピソードが広がってる段階だけどものすごく面白いわ。柏木君は一筋縄ではいかない子だったこと、聡明でかわいい藤野涼子が実質主人公、コンプレックスの塊である樹里、さらには野田くんや、不良少年たちとキャラクター豊富。まだまだ新キャラ登場の余地はあるし、学校て世界はほんと特殊だなとあらためて。今自分が学校世界に入ることがあったらどうなるんだろう。怖いけど興味あるわ。

さて。宮部先生が描こうとしているのはなんだろう。人は表面だけではわからない。表の顔と、本当の顔は別物だ。それは裏表という意味ではなくて、言動と考えていることは必ずしも一致しないという意味で。あの人とは気が合わないと思っていても、知らない面はたくさんある。本当はやさしいかもしれない。逆もある。いや、表と裏なんていうふたつに分けられるはずもない。他人のことで知り得ることなんて本当に少ししかなくて、あとはどんなに長く一緒にいたとしても想像するしかないんだよな。「理解は誤解の総体」と言ったのは村上春樹だっけ。あらためてその言葉が思い出されます。だから難しいし、だからおもしろい。涼子が野田くんに助けられるエピソードなんて最高かつ残酷だもんな〜。ああいう揺らぎみたいなの、よくわかります。とりあえず、垣内の身勝手さには猛烈に腹が立ったけど。今の所最も許せない人物。樹里もひどいけど中2だからまだ許せる。

そして宮部さんは、子供たちへのまなざしがあったかいなーとなんとなく思います。子供が主人公の作品けっこうあるよね? 「子供はみんな時代の子」と言ったのは宮部さんだと思うけど、この作品にもその哲学が注入されてると思う。真理だから当たり前か。時代はバブル時期なので、現代とは切り離したほうがいいのだろうけど、でも本質的にはそんなには変わらないんだろうな。

とかとか、思うところはたくさんあるけど、ぐいぐい読みすぎて思考がまとまる前に先へ先へ行きたくなっちゃうよ。2巻もきっとあっという間に読めちゃいそう。

第1部 事件 上巻 第1部 事件 下巻 第2部 決意 上巻 第2部 決意 下巻 第3部 法廷 上巻 第3部 法廷 下巻 書き下ろし『負の方程式』
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by april_hoop | 2014-11-15 00:00 | 出版 | Trackback | Comments(0)
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