2014年 08月 31日
札幌に行った時、「バベル」は観た?って聞かれた。ちょうど札幌入りする前夜に行われた、ダンスパフォーマンス公演のことで、もちろん観てないんだけどこれがすこぶる良かったらしい。なんなら泣けるくらいに。それは観たかったなぁと思ったらなんと東京公演もあるっていうじゃない。調べたら29〜31日。てことでダッシュで行って来た。開演ギリギリに会場入りして当日券ギリギリ買えたわ。見た感じはほぼ満席でした。前売り買うときのシステム利用料とかの手数料ケチって見逃すとこだった、あぶねー。 バベル BABEL(words) バベルとはもちろん、「バベルの塔」からインスパイアされたもの。言語がバラバラになるあの世界よろしく、現代のさまざまな要因によるディスコミュニケーションをわりとストレートに題材にしたように受け取りました。冒頭、かつて人が言葉を持つか持たないかの頃は、身振り手振りで多くのことを伝えていたという話。もちろん誤解も多かったけれど、それゆえに誤解があることも前提で、それを許すメンタリティが備わっていたという。同時にちゃんと伝わったかを確認する術も。 幕が変わって、神経科学では人が、誰かに触れられたのを観ると、他人である自分にも何かが触れられたときの神経活動が20%くらい伝わるんだそう。それってすごいことだよね。ダンスを観て僕の細胞がうずく気がするのもそういうことなのかな? 直接触れ合うことによる神経への働きかけ。これこそが無線LANなのかもしれないね。なんて。 という前フリがありつつ、言語を異にする14カ国からやってきたダンサーたちが、台詞なしでいろいろなことを踊る。舞台装置は大きさの違う輪郭だけが描かれた直方体(なんと彫刻家アントニー・ゴームリー作とは!)をさまざまに動かしながら人と人の境界や、個人とパブリックの境目のようなものを立ち上がらせることでまたコミュニケーションを阻害する様子も見せる。なにが私たちの言葉を伝わりづらくしているのか。それは、あまりにも強い個人主義や我欲なのではないかと思わせる。個人的にはメールが発達した今、誤解されないように腐心し、誤解には過敏に反応してしまったり相手を責めたり、言葉足らずであることを指摘したりすることが多いのだけど、そういう拒絶するような態度こそが悪なんだよなって思わされたり。冒頭いあるとおり、許す心って必要だよな。寛容性ってやつだな。 明確なストーリーラインはつかめなかった(あんまりないのかもしれない)けど、摩擦や衝突、争いは伝わってきたし、その先にあるかすかな希望めいたものも感じられた約105分の物語。それにしてもこういうモダンダンスっておもしろい表現だよな。そんな動きできちゃうんだ、っていう驚きもあるし、物語を立ち上げる力もある。そして心を動かすこともできる。久しぶりにコンドルズを観に行きたくもなりましたわ。
by april_hoop
| 2014-08-31 00:00
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