2014年 07月 11日
今年も「世界報道写真展」に行ってきました。毎年ここに足を運ぶことは、ニュースやネットでは追いかけ切れない世界の今を知りにいく作業だと思ってます。高く評価される報道写真だから、とにかくその強さは半端じゃない。事実は小説より奇なりを地でいくような写真たち。今年も必見です。 世界報道写真展2014 全体の印象としては、厳しい現実を知らしめる写真の割合が、ここ3年くらいの中では比較的少なかった気がした。いつも、かなり落ち込んで帰ってくるんだけど、今回はそうでもなかった。ただそれは、世界的に悲惨なことが少なくなったわけじゃなくて、たまたまでしかないんだろうけど。意図してバランス調整したのかどうかはわからないけど。 ざっと並んでた写真を列挙すると、まずは大賞に選ばれた、アフリカの夜の海岸でケータイを空にかざす人々の写真。美しいとさえ思うその光は、出稼ぎ労働者たちが微弱な電波をキャッチし、家族に連絡を取り休息を得るための行為だという。一気に写真の意味が変わる。出稼ぎが必要な社会状況、デジタルによる人と人のつながり方の変化、家族を求める心のありよう、そんな意味を持つ一枚の写真のチカラにしばし足が止まる。 シリアやパレスチナの紛争や、フィリピンの大型ハリケーン・ハイエンによる惨事。中南米の殺人事件や、アメリカの暴力事件。色素欠乏症や同性愛、精神病患者などのマイノリティの姿。バングラデシュの工場倒壊事故。ミャンマーの兵士。オーストリア、ルーマニア、ポーランドなどの市井の人々。世界の絶景と、対照的な環境汚染の様。クーガー、ボノボ、フェネックギツネといった希少動物。全米オープンテニスやアルペンスキー、ヨットレースなどのスポーツシーン。などなどなど…etc. 明るいものも、胸が痛むものも、これらはすべて僕らが生きる今、まさにそこで起こっていたこと。だけどそれを僕は知らない。こうして写真をみるまでは。そんなことは今始まったことでもないけど、視点ってどこに持つべきものか考えてしまうな。世界は絶望的な状況だって思うこともできるかもしれない。だけど今日の東京はとても平和でいい天気ですべてがうまくいくような気もする。だけど今日もどこかで戦闘は続いている。僕は、そういうのをなるべく俯瞰していたいと思っている。俯瞰し過ぎるとなにもかもがどうでもよくなってしまいそうな気もするけど、そこまではいかないように気をつけながら。 来年のここには、きっとウクライナのことも、マレーシア航空のことも、ワールドカップのことも一枚の写真になって届けられるんだろう。今、世界のどこかで起きていること。今、僕の目の前で起きていること。どっちが大事ではなく、どっちも大事なんだよな。って、いつも思います。東京では8月3日まで。ぜひぜひ。
by april_hoop
| 2014-07-11 00:00
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