人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2014年 04月 05日
ポートランド・アディクト! 2
ポートランド・アディクト! 2_c0160283_1542084.gif前述の通りのポートランド熱なわけですが、せっかくなのでなるべく立体的に知りたいなーと思い、もう一冊ポートランド本を買ってみました。『グリーンネイバーフッド 米国ポートランドにみる環境先進都市のつくりかたとつかいかた』。要するに町づくりの話ですね。2010年の本なのですが、5年前にしてすでにポートランドの都市としての評価は高まっていたということです。
GREEN Neighborhood ~グリーンネイバーフッド 米国ポートランドにみる環境先進都市のつくりかたとつかいかた | 繊研プラス: ファッションビジネス専門紙、繊研新聞

なるほど、ポートランドが都市としていかに発展してきたのか、この10年くらいの動きがまとまっていてわかりやすかったです。古い歴史まではわからなかったけど、かつての工場地帯で、廃れた後に使い道がなかったエリアを、行政とディベロッパーがいいタッグを組んで再生したというのが、超ざっくりのアウトライン。でもその都市計画が優れていて、先見性があったというのがポイントですね。

簡単にまとめると、都市エリアの範囲を明確に決めて、開発はその中だけにしてそこから外は開発を制限したこと。これによって都会からわずか1時間で自然豊かなゾーンに行けるように。それは今まさに求められている有機栽培とか、そういう食材の豊かさとも直結していて、地産地消を押し進めるのに非常に有利に働いたということ。街の中にしても、ビルの街区を細かくして、歩く楽しさ、角を曲がる楽しさを担保したこと。それだけでなくビル1Fはテナントスペースとしてお店を誘致。これも歩く楽しさを後押し。ウィンドーショッピングってのは当然街歩きの楽しさのひとつですからね。

それをただ経済優先でやったのではなく、クリエイティビティを大事にしたのも今の時代には絶対必要なこと。古い倉庫をロフトスペースとして、若いアーティストたちに安く提供したってのも素晴らしいね。既存の枠に収まらないアーティストたちの存在感は、街に活力を与えるもの。彼らが自発的に、創発的に活動し、町づくりに貢献したことも今のポートランドを作る大きな要因だったっぽい。没個性で画一的な日本の地方都市みたいになっちゃったらつまんないもんね。って、行ったことないから実際はわからないけど、そういうのが上手くハマっての今らしい。もちろん、発展することにより家賃があがったり、少しずつ街の新鮮味が薄れたりってのはあるようだけど、ちょっとずつエリアをズラしながら今も発展が続いているみたいね。安易なスクラップビルドを好まないサステナビリティが、住民の意識としてあるというのも大きいのでしょう。グッドスパイラル。

ヘルシンキもきっとそうなんだと思うけど、行政がしっかりしたビジョンを持って都市計画することがどれだけ大切なことか。目先の美観だけではなく、経済優先でもなく、長い目でデザインされた街があるってのは羨ましい限り。日本でもこういう街を作れないものだろうか。そういうことを画策しているプランナー、デザイナーとかはいそうだから(こういう本が出る時点でね)、それを実行できる行政とディベロッパーがいるかどうかってことなのかな。ベネッセと直島みたいな関係性がひとつのモデルケースになるんだろうけど、あれよりもより都会的な形はあるんだろうか。そういうのを考えるのはとても楽しそうだな。クリエイターを中心に、地方へ拠点を移す動きって増えているから、そういうのを結集できればと思うのだけど。

東京、大阪あたりと商圏がかぶらないことが重要だから、たとえば四国なんかどうだろう。気候もよく、自然豊か。ポテンシャルありそうだし、瀬戸内海は世界に誇れるものだと思うから、高松とか、松山とか。町づくりを編集する、大きな夢だけど、なにか携われたら面白そうだなーと思います。まずはやっぱポートランドに行くところからか。ほかにも世界的に評価高い都市ってどこなんだろう。

by april_hoop | 2014-04-05 00:00 | 出版


<< 晴れなくても、いちはら行こう!      ポートランド・アディクト! >>