2014年 03月 10日
感想_注文の多い注文書
c0160283_11162588.gifいとおかしきコラボレーション。小川洋子、クラフト・エヴィング商會『注文の多い注文書』読了。クラフト・エヴィング商會は、どんなものでも探してくれるお店。日々不思議な注文が舞い込んでくる。さて、今日の注文は…。
筑摩書房 注文の多い注文書 / 小川 洋子 著, クラフト・エヴィング商會 著

世の中の短編集インスパイアのあるモノを探す人物の物語を小川洋子さんが描き、その注文に対してクラフト・エヴィング商會がこたえて物語を創作するという、webちくまで連載されていたという異色コラボ作品。クラフト・エヴィングさんは、ご夫婦(?)の創作ユニットで書き物のみならずブックデザインなども手がけたり、単独での著作もある方たち。いやー、なんかさすがだし、とても素敵な読み物だったなー! で、連載時はどうやら注文書(by小川さん)と納品書(byクラフトさん)だったようだけど、単行本ではその後を描いた受領書(by小川さん)が加えられてました。この蜜月関係、9年も続いていたようですよ、あとがきによると。

描かれる物語は5篇。川端康成、村上春樹、サリンジャー、内田百聞、ボリス・ヴィアンという著名作家のものがチョイスされ、注文が入るのは「人体欠視症治療薬」や「バナナフィッシュの耳石」や「貧乏な叔母さん」などなど。ここもまた小川さんと各作品という豊かなコラボが始まっているのが嬉しい。それぞれの作家の感性によって生み出された物語が、別の感性によってまた違った物語を与えられるこの関係性に酔えるだけでもこの本の価値はあると思います。もちろん、ひとつひとつの物語だけでも十二分に存在感があって、さらっと読めるボリュームなんだけどとても味わい深い。旅に持っていくにちょうどいいかも。

なによりあとがきにある3人の鼎談が興味深いんだよね。物語がどこからきて、どこへ向かい、そしてそれは私たちの現実にどう作用しているのか。者語ではなく、物語であるのはなぜなのか。想像をめぐらせていくと、どんどん物語の奥深くに引き込まれて行くようで心地がいい。とても堪え難い現実も、にわかには信じられないできごとも、取るに足らない淡々とした日常も、すべてに物語が潜んでいて、しかもそれは無数にあって、そういうことを思うとこの世界はとても美しいものに見えてきたりして。目の前にいる名前も知らないこの人にもさまざまな物語がある。知らない街のなんでもないお店にも、打ち捨てられた古い椅子にも、今飛び立った小鳥にも。

よーしこれで、今やってるクラフトさんの展示に行く準備は整った! なにに会えるか楽しみだな〜。
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by april_hoop | 2014-03-10 00:00 | 出版 | Trackback | Comments(0)
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