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2014年 02月 12日
名和晃平とSANDWITCH
名和晃平とSANDWITCH_c0160283_0501194.gifついこないだ展示を観たばかりの名和晃平が主宰するSANDWITCH。その立ち上げから5年間をアーカイブした書籍が出版されたので即買い! 個人アトリエでの活動からSANDWITCHというプラットフォームがいかにして生まれ、そして何を行い、どこへ向かうのか。名和さんご本人の言葉で語られているので、思想やビジョンが見えてとてもとても興味深い一冊でした。
KOHEI NAWA | SANDWICH: CREATIVE PLATFORM FOR CONTEMPORARY ART
SANDWITCH

SANDWITCHってクリエイティブ集団ということはなんとなくわかっていたものの、いまいちその実像がわかんなかったんだけど、これを読んでおよそのフレームはわかったような気がします。すなわち名和さんから発信されるアートを、さらに拡張させるためのプラットフォームであるということ。彼の作品をアートに留めず、ファッション、建築、デザイン、その他さまざまな領域と切り結んでいくための有機体として存在しているんだな、と理解しました。

京都が拠点のSANDWITCHは、その名の通り元サンドイッチ工場をリノベーションしている。手狭になったアトリエを新しくする場所を探していて出会い、ここを自分たちで改装するところからすべては始まったの出そう。その名前は言いえて妙というのかな、いろいろなものを組み合わせたり、詰め込んだりして、新しいものとしてパッケージしているその活動をよく表している。ということもこの本から読み取れる。個人としての作品制作から、芸術祭への出品やパブリックアートなどの大型作品も、この規模だからこそできること。さらにはゆずのPV、コムデギャルソンのショーとのコラボレーションなど、異業種からの視線も熱い。それぞれデザインや映像の専門家もいることで、こういった展開も可能になっているんだそう。さらには他のアーティストが滞在するスペースも備わっているそうで、さまざまなインスピレーションの交歓や融合が行われるインタラクティブな場にもなっているみたい。もはやここ、宇宙だね。

で、SANDWITCHがどれほど大きかろうが、先端を行こうが、結局のところは名和晃平という才能に帰結するんだよな。彼の彫刻というものに対する考え方には、ひどく陳腐な言い方だけど、感動すら覚えた。名和さんの言葉を借りると「感性と表皮」という言葉。人は物体を認識する時に、視角と触覚から感じ取っている。すなわち物体の表皮がもののイメージを司っているということ。ならばその表皮を変えることでものの受け止め方、ひいては価値観すらも変えうるということ。その言葉で、彼の作品が持つ不思議な感じが一気に説明できたような気がする。クリスタルに覆われた鹿も、ポリゴンみたいな彫像も、一般的に持っている感性を表皮から覆しているからだ。無機的にも見えるのに、妙に生々しさを持っているのも、きっと名和さんの計算通りなんじゃなかろうか。コレはこうあるもの、という既成概念を鮮やかなまでにブレイクするーしちゃうのは、そうあるべく表皮を制御しているからだったんだね。

今、SCAI THE BATHHOUSEで、名和さん含めたグループ展が行われている模様。名和さん以外もビッグネーム揃いなのでこれは観に行かないと。3月8日までだってさ! 急げ!!

by april_hoop | 2014-02-12 00:00 | 出版


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