2013年 11月 15日
ダーリン、この世界はそれ以上でも以下でもないから
c0160283_2465516.gif敬愛する写真家中川正子さんの写真集がリリース! だけどこれ、書店流通させていないものだから、買えるのはこれを作った兵庫県と、ごく限られたいくつかの書店とAmazon。Amazonでもよかったんだけど、この本はできればリアル書店で買いたいんだよねーと思っていたら、東京のHADEN BOOKSが扱ってるというじゃない! ソッコー訪ねて残り2冊だったのを買って来たぜ(今は追加注文が届いたそうです)。
IMMIGRANTS | OCTAVUS

IMMIGRANTS=移民。中川さんは、震災の後、家族3人で東京から岡山に移住した。同じように、移住を選んだ人たちと、岡山で出会う。彼らは移民である。新しい土地で彼らが営んでいる暮らし、それは惰性ではなく誠実にみずからと向き合った生き方。その一つひとつを、中川さんが一枚一枚丁寧に切り取ります。本当に、心の底からまっすぐに見つめて。

草を刈る。藍で染める。鶏をさばく。ごはんを食べる。瀬戸内海。道。空。写真がとらえた瞬間も、写真に添えられたキャプションもこの上なくシンプル。ああそうだ、僕たちは自分自身で世の中をいろいろと難しくしてしまっているけれど、本当は世界ってこんなにもシンプルなことたちの積み重ねでできているんだ。それ以上でも、以下でもない、んだよね。東京はせわしなくて、情報で溢れかえっているけれど、僕たちはもっとそのことに気付いたほうがいい。あまり先回りばかりせず、言い訳をこしらえず、自分の大事なものを大事にして過ごそう。周りの誰かに優しくしよう。素直にそんなことを思えるのはやっぱり中川さんの写真が真っ直ぐで美しいからだよな。間に挟まれる瀬戸内海の表情がなんとも言えず静かで、激しく、そして美しいのですよ。

この気持ちは、それを実践している中川さんの佇まいや、それを写真という形で表現できていることへの憧れや嫉妬なんかもあって。だから僕はせめて言葉という頼りなげな武器で、少しでもそれを、その世界を伝えられたらと思ったりもするんだな。ちなみに購入特典の紙がペロっと入っていて、そこにはURLが記されている。アドレスバーにそれを打ち込むと、この写真集にはおさまっていないカットを含めた、写真集の元となった「移民/IMMIGRANTS」なる1本のスライドショーが。これがまた美しいのね。27分ほどあるけど魅入ってしまうよ。

貨幣価値だけでは測れない大切なものを伝えられる人間でいたい。そんなふうに思わせてくれる一冊でした。この世界は、世界以上でも以下でもないんだよな。ライフイズシンプル。それでいいのだ。
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by april_hoop | 2013-11-15 00:00 | 文化


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