2013年 10月 25日
感想_クリエイティブ・フィンランド 建築・都市・プロダクトのデザイン
c0160283_21442845.gifいつも旅行前はガイドブックばかり読みあさっているので、もう少し教養らしきものを身につけないといかんなと一念発起ってほどでもないけど、Amazonでフィンランドで検索かけて新しい本順にソートして見つけたこちらの本。書店で実物確かめたら面白そうだったので買ってみました。大久保慈『クリエイティブ・フィンランド 建築・都市・プロダクトのデザイン』読了。2010年初版です。
クリエイティブ・フィンランド

建築家で、10年以上ヘルシンキ在住という著者による本だけあって、現地の建築についてはもちろん、それが生み出される背景や、現代の社会状況まで、前後のコンテキスト含めてまとめられていて、かの国のアウトラインが少しつかめた気がします。国家のざっくりした成り立ちとあわせて、19世紀以降の都市づくりの流れの中で建築はいかにして発展してきたか。木造建築から始まりバロックやロココ、アールヌーヴォーなどヨーロッパの流行の影響もあったりなかったりしながら、フィンランドらしい自然と共存した今のスタイルが確立されていくと。とかく北欧でくくられがちなエリアだけど、スウェーデンとフィンランドでは建築の傾向にもかなり差異があるようで、やはり1国にフォーカスするとだいぶ深堀されていてイイですね。

いちばん印象に残ったことは、建築単体ではなく、都市デザインの中で建築が考えられていること。都市の景観を守り、機能を果たすうえで、どういう建築が求められるのか。そしてそれはヘルシンキに相応しいのか。そこが国をあげて考えられていて法整備や、役割のアサインがなされていることが素晴らしいと思ったわ。ゆえに、無機質な最新高層建築に侵食されることもなく、新しいものを建てるにしてもちゃんと都市の中で共存共生しているから、素晴らしい街並が維持されてるわけね。お上だけじゃなく、市民レベルの意識が高いところもすごいなよなー。そして、都市という大きなハコだけではなく、ドアノブひとつ、椅子ひとつ、ミクロな視点にもそのイズムが貫かれているところが素晴らしい。古いものを守り、一貫したデザインをする。早晩できることじゃなく、長い時間をかけて醸成されたムードだよなーそれって。やっぱり日本の都市が面白くないのは、古いものがあまりに少ないからだと思う。どうしても浅く見える。カオスにはカオスのよさもあるけど、今からでも残せるものは残してほしい。東京じゃなくてもいいから。

後半は、さらに発展して建築家の教育や、働き方の話。隣の芝生なのかもしれないけど非常にいいスパイラルに見える。最終的に仕事をするという目的に沿った実践的な教育がなされていたり、キャリアに関する考え方も転職当たり前、ワークライフバランスの考え方も人それぞれで、仕事の仕方、休みの取り方、そのあたりがライフスタイルに合わせた選択がしやすくなっている仕組みのよう。もちろん、実際に中に入ればいいことばかりじゃないんだろうけどね。大事なのは国がひとつになってあるべき方に向かって仕組みづくりを推進しているってことなんじゃないでしょうか。なんとなくですが…。

最後は、サウナなどの文化や、インテリアデザインなどのザ・フィンランドな要素にまで言及されていて、このあたり旅行者的にも興味深いところ。アンティークも素敵だし、アラビア、マリメッコ、アルテックといった世界的ブランドもまた素敵。小国ゆえに世界をマーケットとしてにらんだもの作りにわくわく。現地で見るのが楽しみだなー。

と、ミーハー心を満たしつつ、なんちゃって教養気分も満たしてくれた一冊でした。カラー写真がもう少し多かったらさらに嬉しかったけど、まあガイドじゃないしそれは求め過ぎか。著者は2012年に帰国しているそう。講演とかも多少しているっぽいので、機会があれば観に行きたいな。てことでとりあえずTwitterフォローしてみました。頭よさそうなツイートが多いです。
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by april_hoop | 2013-10-25 00:00 | 出版 | Trackback | Comments(0)
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