2013年 01月 09日
感想_しょうがの味は熱い
c0160283_2224692.gif意外な直球恋愛ネタ! 綿矢りさ『しょうがの味は熱い』読了。絃と暮らし始めた奈世だったが、絃との価値観がなかなか折り合わず、常に孤独を感じていた。奈世は絃とひとつになりたいと強く願っていたが、彼はそうは思っていないらしい。どうしてこんなにもうまくいかないのだろう。ついに、奈世は絃の部屋を去り、実家のある名古屋へと帰るが…。
綿矢りさ『しょうがの味は熱い』 | 特設サイト - 本の話WEB

新年の読書始めは飛行機内で綿矢りさりさちゃんの新刊から。新刊つっても初出は2008年とかだけどね。中編2本が連作になっていて、奈世が家を出て行くまでの表題作と、その後を描いた『自然に、とてもスムーズに』(2011年初出)という内容。1人称が奈世と絃とで入れ替わりながらの展開です。

うん、これまでのりさりさはけっこう極端な性格の人の、普遍的に誰でも持っているけどあえて言わなくてもいいようなニッチな心理を描写してきた印象なんだよね。けっこうえぐいところを平気な(むしろキレイな)顔で淡々とつまみあげる感じだったと理解しているのだけど、今作はわりと直球な男女の恋愛観を俎上にのせてましたわ。すなわち同棲、そして結婚。大人の男と女が生活をともにするというのはどういうことなのか。同じ「好き」にもいろんな種類があって、完全に同化したいと願う女もいれば、境界線を守って暮らしたいと願う男がいる。共感性の高そうな題材を、レトリックこそ綿矢りさらしさがありながら、わりにストレートに描いたなーってのが印象。さらっと読めて汎用性高そうだけど、ファンにはちょっと物足りなさも残るような。

結論もけっこう大人びていて、結局結婚という一生の約束ってあってもなくてもというか、10年20年先のことなんて誰も誓えないし決められやしないんだってこと。今のかりそめの誓いに強制力なんてこれっぽっちもなくて、だから決断するのは難しいけれど、それを共有しつつ理解を示しながら足を踏み出すしかないんだろうねって感じでキレイにまとまってて、これも綿矢りさの中では異質なような気がしたわ。

さらっと読めて悪くないけど、これまでの作品と比べてインパクトは少なめか。共感度は高いとは思うから、女性の支持は集めるのかもしれないなー。
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by april_hoop | 2013-01-09 00:00 | 出版


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