2012年 07月 06日
感想_へルタースケルター
c0160283_013125.gifこれがウワサのやつね。岡崎京子『へルタースケルター』読了。トップモデルから日本中の注目を集めるタレントとして活躍するりりこ。しかし彼女のその美貌は、全身整形によってこしらえられたものだった。あらゆる欲望に巻き込まれ、過剰なストレスと手術の後遺症によって、りりこは心身ともに崩壊のときを迎え始めていた。
岡崎京子『ヘルタースケルター』映画化!

映画版を試写会で拝見し、あちらはどうにも馴染めなかったのですが、いったいどんな原作なんだ!?ってことで拝見してみたことよ。意外にも、映画はマンガとまるきり同じでしたわ。マンガを脚色することなく、特別に解釈を加えることもさほどなく、わりとそのまま映像化した結果、なんとも煮え切らない感じになったというわけでした。

確かにこれはマンガだから成立する表現だったと思うし、この本の核心は、「欲望」にこそあるんじゃないかと思ったよ。女性が持つ美への欲望。そして、ステータス、お金、夢、そういったあらゆるものへの欲望。それらを象徴的に具現化した存在がりりこであり、欲望渦巻く現代(連載当時は96年か)の犠牲者として描かれてたんじゃないかな。時代を考えるとバブル崩壊後だから今よりもタイムリーだったのかもしれないけど、でも今読んでもなんの違和感もないのは岡崎京子の視点の鋭さなのかも。小さなタイガーリリィは、至る所にいるのだ。

最後には堕ちていくりりこだけど、果たして彼女が不幸だったのかは誰にもわからないのだ。何も求めない、何もかも与えられているように見えるこずえが、じゃあ果たして幸せなのかと言われたらそうとも言えないはず。そう、人間は欲望を食べて生きている。それを知らないこずえの空虚さも見逃してはいけないことのように思う。

エッジィなサブカル作品だったと思いますが、ほかの岡崎作品も気になる今日この頃です。
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by april_hoop | 2012-07-06 00:00 | 出版 | Trackback | Comments(0)
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