2012年 04月 04日
本と紙と、物語と_25
c0160283_0404655.gif神保町のほうに、竹尾という会社のショールームがある。竹尾は、1899年創業の紙を扱う会社。今現在、9000種類もの紙をストックしていて、ここでは全部じゃないけどそのサンプルを見ることができる。今まで何度も前を通っていながら、中に入ったのは今日が初めて。大好きなデザイナー田中千絵さんの展示があったから。

内容は、千絵さんが毎月色を決めて、9000枚の中から10枚をセレクトするというもの。4月のピンクが最終回で、過去1年分を一度に全部見られる展示でした。これがとても素敵でさぁ! まず紙そのものの豊富なバリエーションに心打たれ、色の美しさに心潤い、そして千絵さんがその紙を使って工作していることに心踊るわけ。さらにこの集大成として、10枚×12ヶ月分を一冊に収めた特装本の受注までしているじゃないか(最少ロットに達したところで生産が確定。みんな申し込めー)。単純に紙が製本されているだけなんだけど、材質の違う120色が一冊にまとまっているって想像以上に素敵です。展示は11日まで。ぜひ実物を観に行ってほしいわ。ウェブでも様子はわかるけど、あの質感はやっぱダイレクトじゃないと、ね。
takeopaper.com+田中千絵 紙の歳時記│約9,000種類の紙が買える竹尾のウェブストアtakeopaper.com

紙ってマテリアルでしかなかったはずだけど、時代の変化の中で、紙そのものが意味を持つようになってきていると思う。いわゆる「物語」って、想像を膨らませたり共感を呼んだりする装置だと思うんだけど、その物語を記しておくための道具でしかなかったはずの紙は、今はそれ自体が物語性を帯びているように思うんだよな。手触り、質感、匂い、色。それらをフックにして、紙を手にするだけで子供の頃の記憶だったり、喜びといったものがよみがえってくる。それってつまり、物語の力にほかならないでしょう?

だから、今になって、装丁の凝りまくった書籍だったり、特別な仕様のノートだったり、そんな紙のプロダクトが登場しているんだと思う。今回の千絵さんの企画にしてもそう。紙を選ぶというのはそもそも重要な行為ではなかった。しかし現代においては、紙が持つノスタルジーのようなものを、色とシチュエーションを重ねてセレクトすることでより立体的な物語に仕立てることができるってことを証明した。さらにそれだけで終らず、マテリアルという本来の特性を活かせば変形加工も自在。これがさらなる奥行きを生んでいる。紙、すごいじゃないか。紙という名の物語、なんだか物質的境界を飛び越えて、もはや無限とすら思えるじゃないか!

とにかく興奮して、今月のピンクの紙が詰まったセットを購入。何に使うわけでもないんだけどね、どうしてもこの感動を手元に留めておきたくて。ほらね、多分こうやって紙の物語性が増していくんだぜ、きっと。
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by april_hoop | 2012-04-04 00:00 | 閑話 | Trackback | Comments(0)
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