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2012年 01月 02日
まだ見ぬ母国のストーリー
まだ見ぬ母国のストーリー_c0160283_2235498.gif今でこそなくなったとはいえ、在日韓国人であることに多大なコンプレックスを抱いていた青春時代。その反動的に、韓国への興味関心、情報というのものを遮断することで当時はバランスを取っていたようにも思えるのです。実際にどうだったかはなんとも言えないけど、その可能性を考える自分がいることこそがコンプレックスの存在の証明ってわけでしょ。でもそれはまあ昔の話で、社会人になったかどうかくらいの頃からは、それもひとつのネタでありアイデンティティとして認識できるくらいにはなったわけで。逆に言うと、あってないようなルーツをアイデンティティの拠り所として利用するのも間違ってるんだけどね。なんせ行ったことないんだから。

ということで人とは違う理由で、近くて遠かった国、韓国。に今月行って参ります。わずか二泊三日、しかも同僚8人くらいとなので個人の自由はあまりないだろうから特になにもできやしないんだろうけど。あまり積極的に情報を取ろうとは思ってないのだけどちょうどクウネルが韓国特集だったので買ってみたよ。クウネルはよく買っております。写真が好きなんだよな。基本的には人の目線としてありえる構図でしか撮ってないと聞いたことがある。そして被写体がごくごく構えない普通な感じなのがとても格好いいのですよね。コンセプトは「ストーリーのあるモノと暮らし」で、日本全国から毎号毎号、よくぞこんなニッチなところまで!と思うようなネタを拾ってこられてます。尊敬〜。
マガジンワールド | クウネル - ku:nel | 53号『アンニョンハセヨー。』

韓国特集においてもそれは貫かれていて。構成は、食、モノ、人、ではあるけど、いわゆるガイドブックにも情報誌にもないだろう切り口と取り上げ方。ごはん屋さんは、ご当地人推薦のローカルな食堂系と思しきお店ばかりが並ぶ。出て来るのも、the韓国家庭料理の類い。これがまた強烈に美味しそうでね。どんなお店なのか、外観内観なんてものは登場してこないから、観光客が行くようなお店ではないとは思うのだけどこのうちのひとつでもふたつでも絶対に行きたいわー。

雑貨にしても、チープなおみやげ品ではなく、李朝時代の古道具もあれば、作家さんの手仕事ものもあり、日本の時流とクウネルの世界観を大事にしながら、それを韓国オリジナルにあてはめていて、どれもいい感じ。スプーンも、カゴも、器も、なんだか無性にほしくなってしまうじゃないの。浅川巧さんのストーリーも必然性があるし、かと思えばユリさんやごく普通のオモニ(お母さん)の日常の切り出し方もクウネルの得意技よね。お弁当ページ、市場のアジメ(おばちゃん)ファッションページなんかのアクセントも絶妙〜。

さて。

この国がいったい自分に何をもたらすのか。何ももたらさないのか。アカスリして焼き肉食ってマッコリ飲んで終わりだろ!って気も多分にしてはいるけれど、かなり楽しみになったことは確か。ちなみに、表紙には『アンニョンハセヨー』とあるけれど、我が家ではこんにちはのことを『アンニョンハシミカ(音読するとだいたい"あにゃしみか")』って挨拶してます。違いを両親に問うたところ、地域性の問題や(うちのルーツはソウルじゃない)、時代性(両親が言葉を教わったのはもう60年も前)というのも絡んでいるがゆえの差異のようです。正確に何が違うかは把握できなかったんだけれどね。

by april_hoop | 2012-01-02 00:00 | 出版


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