2011年 04月 14日
感想_MONSTER(16)(17)(18)
c0160283_919717.jpgc0160283_9191652.jpgc0160283_9192716.jpgついに読了! 浦沢直樹『MONSTER』。すごいマンガだったな。

16巻あらすじ。明らかになるミランとペトル・チャペックの過去。チャペックは、この地でも子供たちに忌まわしき朗読会を開いていた。ミランはチャペック暗殺を試みるが失敗し、殺される。一方でヨハンと組んだはずの赤ん坊も殺され、チャペックの意図通りには事は進んでいないことが明らかに。やってきたニナに、チャペックは語る。ヨハンとニナは、実験のため計画的に作られた子供だった。ついに再び対峙するニナとヨハン。よみがえる記憶。そして、その計画をたてた男、フランツ・ボナパルタは…生きていた。

17巻あらすじ。ヨハンの語るバラの屋敷の記憶は、ニナが体験しヨハンに話して聞かせたものだった。そして、そのいちばん奥にあるヨハンも知らないという最も恐ろしい記憶を前に、ニナは口をつぐむ…。その頃、ルンゲはある町にたどりついた。その名は安らぎの家を意味するルーエンハイム。グリマーも登場し、ふたりが追っていたのは、フランツ・ボナパルタその人。さらにヨハンはその町で最後の行動を起こす。住民たちを疑心暗鬼に陥らせ、町を壊滅させること、そして自らも終わりの世界へと向かうこと。殺戮の町と化した中、ルンゲとグリマーは、フランツ・ボナパルタことクラウス・ポッペと出会う。

18巻あらすじ。テンマはルーエンハイムにたどりつくが、そこはもう普通の町ではなかった。ヨハンは、自分の運命を変えた男と、自分を知るすべての人間を消し、無になろうとしていた。ボナパルタは自分のしたことを悔いていたが、狂ってしまった歯車はもちろん止まらない。ルンゲは単身、実行犯であるロベルトのいる部屋へと向かい、その間グリマーは子供やボナパルタを守ろうとして憤死してしまう。すべての終わりは、もうすぐそこまでやってきていた。

あーついに読み終わったー。終わってしまったー! いやーなんとも言えない読後感。決着はついた。着地が悪いとは思わない。んだけど、わからないことが多過ぎるってば(少しずつ読み進めたから忘れていることも多い)。この意図的な伏せ方は映画的だな〜。マンガでこのパターンてあるのかな? 何度かこのラスト3冊を読み返してようやくわかってきたことは、そもそもの始まりは人体実験ではあるけど、怪物誕生の直接の引き金を引いた瞬間があるとしたら、母親が双子の一人を選ばなくてはならなかった、あのシチュエーションってことなわけね。どっちを選ぼうとしたのかは母親以外誰にもわからない。ニナが最後まで語らなかった最悪の記憶ってのはこれか。チャペックがこの記憶を示唆すること言ってたから、ヨハンも思い出してたんだね。究極の中の究極の、選択。それによって弾けとんでしまったヨハンの中の大切な感情。母の愛を求めることが、無数の殺人につながるなんて皮肉すぎるよ。

「朗読会」と「511キンダーハイム」で何が行われてたかは明かされず。関係性もはっきりしない。まあ感情を損ない人格を歪めるような人体実験、ってだけで十分か。それから、キンダーハイムってニナも行ってたの? あれ、別のところに引き取られてたんだっけ?(忘れた) てかさ、プラハでチャペックがニナを引っ張ってたとき、その時すでにボナパルタは恋してたんじゃないのか? だから数日後にバラ屋敷の皆殺しになったわけですよね? なのにこんなことしてしまったんですかね。まあ立場上のっぴきならない事情もあったのかしらね。てかそんな無茶してボナパルタ、よく無事だったな。待てよ、ニナが屋敷を逃げたあとは、どうやってふたりで消えたんだ? いろいろとツッコミ始めるとこのあたり、ちょっと緻密さに欠ける気がしてきた(いや、オレが整理できてないだけか?)。

あれあれあれ、今読み返したら、ニナがボナパルタの息子をさして「彼は"いらない子"になった」って言ってるじゃないか。なるほど、ニナもまたヨハンと同じギモン=母似選ばれたのか選ばれなかったのか、トラウマを抱えたわけね(そりゃそうか)。やっぱりこれを原点にして、酷い惨劇を見せられてすべての記憶を自分で消したんだろうな。ニナはそれですんだけど、ヨハンはそれが暴力性へと転化したわけか。あれ、朗読会はふたりとも参加してたんでしたっけ? おっと、さらに「完全な孤独」「唯一の愛情表現」て言葉まで書かれてる。そうか、自分を知る人すべてを消し去って、母親ただひとりが生きていたら、それ以上の愛情表現はないってことか…! 母が生きていることをヨハンは知っていたのかどうか。

スピンオフの『もうひとつのMONSTER』を読めばこのへんの答えも明らかになるのかしら。楽しみがひとつ残りました。なんにしても一気に読ませるチカラのあるグレートなマンガのひとつ。周囲の人が面白いって言ってたのも納得です。
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by april_hoop | 2011-04-14 00:00 | 出版


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