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2010年 12月 28日
ドラマ_Q10(最終話)
ドラマ_Q10(最終話)_c0160283_13331888.jpgQにはじまってQに終わる1年でした。心の底から素敵だったと言えるドラマ。1話1話のクオリティが高くて、それぞれ最終回でもいいのにと思うほどに温かくて、毎回どこかしら涙がこみあげてきました。7話、最終話あたりは涙こぼれることも多数。こんなドラマなかったな。出会えて本当によかったよ、ありがとう。
Q10(キュート)

明日は絶対にあるものだと信じられるのに、1年後のことや、そのほかの目に見えないものが信じられなかったりする。それは信じない方が傷つかなかったり、期待しない方が裏切られなかったり、いろんな理由がある。けど、考えることをやめてしまってはいけない。想像することを放棄してはいけない。一度やめてしまったら、世界はまるで色褪せてしまう。いちばん大事なことがなんだったかを忘れてしまう。ありがとうも、ただいまも、おかえりも。

だから、世界を愛そう。なんでもない、ごく普通の、小さな小さな取るに足らないことたちが集まって世界はできている。その世界はまるで公平なんかではない。飢えている人がいる。病んでいる人がいる。恵まれている人がいる。そのすべてはどこかでなにかとつながっている。木皿泉の発するメッセージは、美談だしキレイゴトなのかもしれないけれど、そこから目を背けたら一体なにが残るっていうんだろう。本当に泣けて仕方ありません。これを書きながらもどういうわけかお胸がいっぱいです。マジで。

非常にモノローグが多いドラマで、真ん中にあるのは平太の語り。あまりにもストレートで、メッセージ性が強過ぎる言葉たちなのに浮いてこないのは、ブレてないこと、キャラクターのリアリティ、役者のがんばり、そして映像とのマッチングのよさなど、トータルできちんと作られているから。映像は、空や俯瞰したカットを多く入れることで、1人の人間の背景に広がる世界を希望あるものとして映し出している。Q10視点の魚眼もまたギミックでありながら、世界のつながりを語りかける。そのほかにも、ワイドレンズ(?)で輪郭が丸くなる効果も、メッセージにあわせたものだと思われて非常に巧み。モノローグの裏で動いている人物にもきちんとドラマがあるところも秀逸。

Q10はあくまで舞台装置であり、主役は普通に毎日を生きているみんな。誰かが誰かに自分を投影して感情移入できたはず。しかも、高校生だけではなく、先生やそれぞれの家族にも、短いとしても誰一人ないがしろにされていないのが本当に素晴らしい。話を転がすためだけに存在している人はいませんでした。名前のない教室のクラスメイトすらも。

前田あっちゃん、すごくいいQ10でした。驚くほどに。佐藤健君も、そのナイーブさが役にハマってました。賀来くん、高畑さん、蓮佛ちゃん、細田くん、柄本くん(まさかリアル父登場には驚いた!)、池松くんもみんなすごく良かった。田中、白石母子も、光石西田夫妻も、薬師丸さんも、小野さんも。

確かにこれはファンタジーかもしれないけれど、流れている感情と発せられる言葉が本当にリアルで、心の奥につきささりました。それはまったく幻想でも妄想でもありません。平太の出会う未来の奥さんが、Q10と同じ顔なのはいただけん!と思ったら、なるほどそういうワケなら断然納得。この優しい感じはどっかで出会ったことあるな、って思ったら『ラースと、その彼女』だな。発しているメッセージは違うけれど、共通する優しさのある物語です。

世界を愛そう。心の底からそう思えるドラマでした。冬休み、動画サイトなどでぜひご鑑賞ください。

by april_hoop | 2010-12-28 00:00 | 映像


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