2010年 10月 22日
本と紙と、物語と_10
c0160283_13453212.jpgすごく素敵な絵本がありました。駒形克己さんの『Little Tree』。いわゆる仕掛け絵本の類いになるんだけど、デザイン性がすばらしくて大人にもぴったり。贈り物にもすごく喜ばれると思う1冊。
駒形克己+ONE STROKE

思うに、絵本てのは出版物の中でも特に「紙」であることの意義が大きいものかもしれない。文字を覚えるか覚えないか、絵を認識するかしないかの子どもたちに向けて、最初の「めくる」という行為を教え、「物語」というものを提示しする。このふたつを最大限に考えて作られている気がするよね。作ったことないけど。電子でも同じ物語を表示することはできるし、3Dとかで立体映像だって出せるのかもしれないけど、「触れる」という身体接触が持つ意味ってのはすごく大きいようにも思う。そしてそれこそが想像力の源になってるんじゃないかとも思ったりする。

この本は、1本の木の一生を、シルエットと、短い文章と、徐々に大きくなるポップアップで表現している。ページごとに紙を変えていたり、春はピンク、夏は緑、冬には白、そのほかにも夜の闇や紅葉、夕暮れなども表現されていて、ごく単純なストーリーだけどとても美しいのです。そしてその木の一生は、つまりは人間の一生のメタファーであり、ただの1本の木がいろんなものに作用し、私たちはいろんなものを受け取っているんだということを、そっと教えてくれるのです。文章は日本語のほか、英語、フランス語も一緒に書かれてて、海外でも好評みたい。絵本の範疇越えたデザイン本ですね、ここまでくると。「めくる」「想像する」をデザインすると、こうなるって感じ。

今の子たちはそれこそ電子に囲まれていて、想像する前にネットでなんでもわかってしまう。遠くの国の映像も、なにもかもが一瞬で手に入る。ユビキタス。それが想像力というものに果たしてどんな影響を与えていくのか。こればっかりは時の洗礼を待つしかないのだけど、怖いような気もしている。紙至上主義なんかではないのだけどね、果たしてなにが待っているのやら。

なんにしてもこの絵本はgreatです。ぜひ手に取ってみてほしいしだい!
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by april_hoop | 2010-10-22 00:00 | 出版 | Trackback | Comments(0)
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