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2010年 09月 28日
本と紙と、物語と_9
本と紙と、物語と_9_c0160283_0455169.jpg雑誌のお仕事をしておきながら、ディープな雑誌フリークじゃないんです、ボク。雑誌好きは雑誌好きなんだけど、これはずっと読み続けているとか、あの雑誌はたまらんかったとか、そういうのがないのです。非常にライトな雑誌好きってことだよね。なるべく広く見るように意識はしているし、平均的な人と比べればだいぶ見てはいるんだけど。

神保町に、雑誌のバックナンバー専門の古本屋がありました。オープンして1年くらいたってるみたい。東京堂書店のすぐ横くらい、すずらん通り沿い。黄色い外観が目印。雑誌は雑誌でも、専門にしているのはファッション&カルチャーと、アートデザイン系も少しかな。なんでも、衣食住の3本柱のひとつである衣なのに、なんか食や住と比べると軽く見られやしないか? でも必要不可欠な要素としてズラリ並べてみて見ると、これがなるほどよく時代を反映しているじゃないかー!とかそいういうことをお考えらしい。確かにね、ファッショングラビアだけじゃなくて、読み物ページとかにも世相が出ますわな。音楽ページとか映画ページとかにも。

てわけで、中には『anan』とか『non-no』の創刊当時のものがあったり、『STUDIOVOICE』とか『relax』とか比較的最近休刊してしまったものたちもズラリと並んでいたり、まったく知らない70年代のものも、直近のメジャー誌も、ファッション&カルチャーがたっぷり。きれいに袋に入れられているけど、中を見てもオッケー。てことで自分、昔の『ku:nel』を数冊ゲット。クウネルってananの増刊だったのか、最初は。

ファッション誌に限らず、雑誌ってすごく楽しいメディアだと思うんだよなー。ひとつのテーマについてあの手この手で編集されていて、写真と文章のバランスとかそういうエディトリアルデザインも多種多様で、適当にパラパラとめくっても情報は入ってくるし、読み込んだら読み込んだでメッセージも詰まっていたりして。こういう受動的に入れる情報がなかったら、「既存の好み」の中でだけ生きて行かなくちゃならなくなっちゃったりしないかしら? 雑誌をマニュアルとしてみるんではなく、アンテナのひとつとしていろいろ見てほしいし、いざ探し物をするとなったら雑誌というパッケージ、コンテンツ、コンテキストってすげー強いと思うんだけども。

しかしもはや電車で雑誌を広げている人なんて、車両にひとりもいないもんな…。限られた時間を、どんどんデジタルデバイスに奪われています。

ま、出版側にも大いに責任はありますよね。新しいものを作り続けなくちゃ行けない経済の中で、ただただ細分化ばかりして中身のない適当な本がたくさん出ましたから、淘汰されるのも当然といえば当然の流れ。ビジネスモデル崩壊という直接の契機がなくても、どっかで見切られてたかもしれませぬ。

先行き不透明ですけど、おもしろい雑誌はいっぱいあるんだってことだけは、なんとかして伝えつつ、おもしろい雑誌を作らなくてはの。

by april_hoop | 2010-09-28 00:00 | 閑話


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