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2010年 01月 02日
感想_1Q84 BOOK2<7月-9月>
感想_1Q84 BOOK2<7月-9月>_c0160283_2335281.jpgそして月は増え続ける、か。村上春樹『1Q84 BOOK2<7月-9月>』読了。青豆は「さきがけ」のリーダーを向こうの世界へと送るべく入念な準備を始める。天吾は、どこからともなく現れた牛河の申し出を断る。10歳以降分たれていた2人の世界は、この1Q84年にて1つになろうとしていた。
村上春樹の最新長編小説『1Q84』|新潮社
牛河の登場にはびっくりしたなぁ!

BOOK1で感じたわずかな違和感など吹き飛ばして、やっぱり村上ワールドだったなぁ! 吸い込まれるように、しかしかすかな重さを頭の端っこに感じながら読み終わりましたとも。なんつってもBOOK3を一刻も早く読みたい!(間違いなく発売日に買うなこりゃ)てのが率直なところですが、んなこたどうでもいっすね。

キーワードでしかなかったリトル・ピープルと空気さなぎの実体のようなものがついに登場。これをどう読み解くかが、この物語のほとんどすべてと言ってもいいのかもしれない。リトル・ピープルとはなにか。人間そのものにも思えるし、その影の部分とも思える。もしくは誰かの神殿の中に祀られているものなのかもしれない。現実的にはなにも及ぼさない彼らは、しかし私たちの周囲に少なからず影響を与えてくる存在。太古からそばにいて、その数も大きさも自在に変えることができてしまうそれら。やはり人の中に潜むものなんだろうな。悪意かもしれないし、信仰心かもしれないし、10歳の時に抱いた愛情なのかも。

そして空気さなぎ。空気の中にある糸を紡ぐことで生まれるそれが示唆するものは一体なんだろう。今年は空気ってキーワードがよく出てくるな。『空気人形』って映画もあったしな。KY時代を逆手に取っているのか、でもこれも大衆とか集団心理とか、そういうものをどこかでさしてたりするんじゃなかろうか。でなければ個人の記憶や歴史の集積なのかもしれないな。ラストはそんなことを思わせる感じだったもんな。

今作は10歳というのが大きな転機になっていて、これは10歳の少年少女が読むべき物語なんでしょうか。今10歳とすると、1QQQ年生まれだもんね。うーん。そして2010年に入り、Qとはしばらく離れる年が続くというのも因果があるのやらないのやら。一気に読んだのでまるで整理されてないけれど、少し冷却期間を置いて、BOOK3前にもう一度おさらいしておきたい気がするぜ。

しっかしけっこうな枚数だったとはいえ、読むのに15時間くらいかかった気がするぞ。それだけ濃密だったってことだし、集中力を要したなぁ。しばらくは軽いの読みたいと思います。とにかく面白かった! が、現象としてこの本を手に取った人はどう思うんでしょうね。ハルキストや文芸好きにはさほど抵抗はないと思うけれども。

感想_1Q84 BOOK1
感想_1Q84 BOOK3
感想続き_1Q84 BOOK3

by april_hoop | 2010-01-02 00:00 | 出版


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