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2005年 12月 31日
感想_十字屋敷のピエロ
感想_十字屋敷のピエロ_c0160283_11415023.jpg東野圭吾『十字屋敷のピエロ』読了。ホントは何書くかちょっと迷ったけど、今年は私的東野圭吾元年につきコイツで締めたいと思います。

ま、いわゆる本格ミステリー。金持ちの一風変わったお屋敷で起こった殺人事件。設定はちと古いか。主人公水穂の視点をベースにしながら、キーパーソン代わりにピエロの視点が挿入的、補足的に用いられる。ピエロはあくまでピエロなので、余計な推論等はなく、ピエロの目に映った事実のみが客観的に語られる。このピエロ、"不幸を呼ぶ"なんていわくつきなだけあって、作為的な感じは否めないけど、それを踏まえた上で、巧みに使いこなしてマス。思うにこれまでの東野作品もピエロがちょいちょい出てきてたね。

ヒジョーによくできたお話で、真犯人を導く過程はお見事。見るからに怪しげな現象と、なにげな?くスルーしちゃう言動等の中にキーワードがちりばめられて、それらが徐々に形を成していくプロットは、さすが。読んでる途中は、あの「オリエント急行殺人事件」的な印象を受けたけど、最終的にはちと違ったね。余韻の残し方も氏ならではの作風。事件解決で一件落着としないところが最大の魅力ですな。

さて、ネタバレですが、本作で一つだけ気になる事があって、真・真犯人はなぜすべてを知っていたかってこと。感受性が強いから、なんてのはミステリーとしては弱いでしょ。推測するに、車椅子からの視点は、健常者のそれとは異なっているはず。となると、ミラートリックの際も、入射角にズレが生じる関係で、どこかに違和感を残してたんじゃないのかなー。悟浄も、しゃがんだりしながら調べてたみたいだし。

なーんてちょっとかぶれた風を装いつつ、2005年を締めくくりたいと思います。定期的にのぞいてくださる方、たまたま辿り着かれた方、来年もどーぞよろしく!

by april_hoop | 2005-12-31 00:00 | 出版


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