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2006年 01月 02日
感想_西の魔女が死んだ
感想_西の魔女が死んだ_c0160283_11395335.jpgさて読書初めは、梨木香歩。『西の魔女が死んだ』読了。本好きカメラマン女史にいい本ないすか?と聞いたらコレを教えてくれたんだけど、偶然にもけんたろうもブログで薦めてました。

主人公まいは中学生。登校拒否になり、魔女であるおばあちゃん(いかにも!な魔女ではないの)家に預けられ、田舎でのゆったりとした生活の中で、生きる指針や、人生の機微を学んでいく。

この本では、生きることの苦しさや難しさと、生きているからこその喜びやおかしみ、そしてそんな生活のバランスを、おばあちゃんがまいに諭すという手法で読者に語りかける。物事には多面性がつきものだけど、ひとつひとつシンプルに考えていーんだよ、という姿勢。生きるという抽象を具体化させるような。面白いのは、おばあちゃんはいわゆるLOHAS的な郊外の暮らしをしていて、まいが選ぶのは都市型の生活という点。それぞれの生き方を尊重しながらさりげなく対比させたのはなかなかに素敵だ。決して子供だましな楽園を提示するわけじゃない。

でも。オレはもういい大人だし、そーゆーバランスや生き方は身につけちゃってる。それなりに自律できてるつもり。なので、感銘を受けるというよりは、ホッと一息つくよーな読後感だった。なにせ主人公は中学生だし、そもそもターゲットにしているのは二十歳前後なんじゃないかな、とも思う。ま、少し生き疲れたときや、うまく回ってないとき、何か迷いがあるときとかに読むといいのかもしんない。

梨木さんは、児童文学や絵本も手がけてるようだけど、それも頷ける。肩肘張らず、斜に構えず、すーっと届く文体は、やっぱり思春期にうってつけ。個人的には表題作よりも、併録されてるその後のまいを描いた「渡りの一日」のほうが好きだったりして。。

でもま、いい読書初めだったよーな気がするな、うん。

感想_西の魔女が死んだ(映画)

by april_hoop | 2006-01-02 00:00 | 出版


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