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2006年 07月 20日
感想_ある閉ざされた雪の山荘で
感想_ある閉ざされた雪の山荘で_c0160283_0193185.jpg"山荘"三部作ラスト! 東野圭吾『ある閉ざされた雪の山荘で』読了。山荘第一弾の『白馬山荘殺人事件』はトリックありきのオーソドックスな密室もの、第二弾の『仮面山荘殺人事件』は強盗に軟禁されるという状況的密室。そして今作は、実際には密室ではないけど、あるミッションによる仮想密室。

久我を含めた演劇オーディション合格者の7人がある山荘に集合。招集をかけた演出家の指示により、この山荘は雪によって閉ざされ4日間外出不可能、外部との連絡も不通、という設定を与えられる。わけがわからぬまま生活を始めるうちにひとり、またひとりと姿を消し、後にはそいつの死を告げるメモ。これはお芝居なのか? それとも現実に起きている殺人事件なのか? 疑心暗鬼に陥るまま迎えた最終日。果たしてこの山荘から無事に脱出できるのだろうか!?

設定のせいもあってか、緊迫感なし。思いっきりフィクション。可能性のひとつとして、オチが想定できたからスリルに欠けた。登場人物のキャラクターも立ち切らず、交わされる会話が古くさい。クライマックスで明らかになる、そもそもの事の始まりも弱い。最後の野暮ったい締めはちょっと笑えた(笑

でも、密室つークラシカルな題材を使いながら、今までにないもの、よそとは違ったことをやってやろう、っていう意気込みは感じる一作。結局のところイマイチってことで。

by april_hoop | 2006-07-20 00:00 | 出版


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