2008年 11月 03日
感想_アカペラ
c0160283_08777.jpgおかえりなさい、先生! 山本文緒『アカペラ』読了。母と祖父と暮らす中学生のタマコ。ヒステリックな母が家出をし、タマコはじっちゃんと仲良く暮らす。しかし母によってそのバランスが崩されたとき、タマコはじっちゃんと駆け落ちをした。他、2作収録。山本文緒6年ぶりの小説!
山本文緒『アカペラ』|新潮社

健在ですとも。このストーリーテリング能力。鬱病でお休みしていたと考えると、どうしてもそういう方向に想像が働いてしまったりもするんだけど、とても読みやすくて、キャラが立ってて、どこか感情移入できて、それでいて脆くて、山本文緒らしさが存分に感じられた3本立てでした。どれもどこか病んでるんだけど、思えば先生の作風は昔っからそうだったよね。それが先生自身の危うさだったのでは…ってまた余計なこと勘ぐってしまいます。でも新潮社のサイトには著者の簡単なインタビューも見れてなんとなく安心できます。

さて、表題作『アカペラ』は、けっこうギリギリのやばさ。でもタマコの気持ちはとてもよくわかる。中学生は子供ではない。社会では何もできやしないけれど、一人前に考えるし、周りでどんな空気が動いているかはわかるもの。タマコさんはその点とても愛らしかったです。ちなみに三十男のオレ様ですが、"デモシカ"ってワード、知りませんでしたよ。初耳です。『ソリチュード』はダメ男とは言い切れないゆえのダメ男が主人公。結局は中途半端で優柔不断こそがダメであって、例えばいわゆるオタクなんてのは全然ダメじゃなかったりする。春一なんてむしろ全然いいやつではと思えちゃうところがダメっぷり。この後も改心せずにダメでいてほしい。『ネロリ』はどんでん返しにまんまと引っかかってビックリ。うわーやられた。ココアちゃん、可愛いですね。ぜひお会いしたいです。

というわけでロクに内容には触れませんけれど、それこそが山本文緒の小説なんだと思ってます。もちろんいろんな想いやメッセージはあるんだろうけど、あまりそれが後を引かない。というかわりとすぐ忘れる。だけど読んでいる間はつんのめるほどに読み入ってしまう。そんなストーリー力がある作家さんだと思うんですよね。というわけで、復帰おめでとうございます。好きな作家さんの一人なので、マイペースでいいので、時々読ませてもらえたら嬉しいです。
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by april_hoop | 2008-11-03 00:00 | 出版 | Trackback | Comments(0)
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