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2008年 08月 23日
感想_容疑者Xの献身(再読)
感想_容疑者Xの献身(再読)_c0160283_0263448.jpgやっぱりため息。東野圭吾『容疑者Xの献身』文庫版読了。あらすじは割愛。ハードカバーで読んで心底打ち抜かれた私的東野圭吾最高傑作。映画を観て、改めて文庫版を手にし、やはり同じだけ打ち震えたわ。
東野圭吾『容疑者Xの献身』特設サイト|文芸春秋

石神が隣人に捧げた献身愛。天才が運命の皮肉に屈しそうになったそのときに再び回り始めた運命は、今まで以上に皮肉なものだったという。しかし石神が果たして何をどこまで想ったのか。それは決して明らかにされていない。だからこそ、彼の徹底した自己犠牲の形に想像を巡らせずにはいられない。彼は、自らの境遇を憂いたのか。誰かに嫉妬をしたのか。それまで無縁であったろうその感情を呼び起こしたのは果たしてなんだったのか。

そして、正義と友情との狭間で苦悩する湯川。彼だからこそ辿り着いてしまった回答。しかし、決してたどりつけない正解。理解できてしまうことで生まれる人間であるがゆえのこの葛藤は、読んでいるこっちの身まで引き裂くようで、果たして自分だったらどうすべきなのか、何をすべきなのか、いや、せざるべきなのか。永遠に続く数学のような難問。

とにもかくにもお腹いっぱい胸いっぱいの不朽の大傑作ヒューマンドラマ。純粋な感情を描いた作品は無数にあるけれど、これほどまでに狂おしい純度をもった愛情と友情の話は見当たりません。凄すぎ!

初読時感想
映画版感想

by april_hoop | 2008-08-23 00:00 | 出版


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