2008年 09月 30日
感想_100回泣くこと
c0160283_0175597.jpg自己愛に過ぎますな。中村航『100回泣くこと』読了。実家の愛犬ブックが死にそうという知らせを受け、ブックが大好きだったけれど4年も乗っていなかったバイクを修理しはじめる藤井君。手伝ってもらった彼女に、修理をしながらプロポーズした。"結婚の練習"を始め、幸せを感じる矢先、彼女の体調に変化がやってくる。

出足はとても爽やかで好感が持てたのだけれど、読み進めるうちにちょっと鼻につくようになっちゃいましたね。藤井君があまりにも軟弱っつーか自己愛に過ぎて、それが少し気になっちゃいました。十把ひとからげはよくないですが、いわゆる難病モノにカテゴライズされちゃう部類です。愛する人の喪失は普遍的なテーマなわけで、ただ悲しい、ツライ以上の表現が求められる中で、ちょっと今作は印象弱かったですわ。

キャラクターは確かに魅力的っぽいように描かれているのです。正直最初は藤井君も佳美ちゃんも愛せそうに思えたんです。が、話が進んでも進んでももうひとつリアリティに欠け、おぼろげな姿は浮かぶんだけれど、ちっとも体臭がしてこない。例えば彼らの間に性の匂いは皆無。別に赤裸々に描く必要ないけど、一緒に暮らしているという説得力には欠けるんだよね。ままごとに見えちゃうというかね。ディテールのかわいらしさはあるけれど、人物の軸を感じられなかったです。

ブックとの絡みも弱くって、短編にまとめたら耳障りいいだけでサラリと終われたかもしんないけど、中編として引っ張るにはやや力不足の感あり。解説は島本理生たんですが、彼女と同系って気がします。そして解説文も理生たんそのものですね。ボクのようなオッサンには手ぬるく感じてしまいました。ごめそー。
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by april_hoop | 2008-09-30 00:00 | 出版 | Trackback | Comments(0)
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