2008年 10月 27日
感想_聖女の救済
c0160283_094227.jpg東野圭吾『聖女の救済』読了。真柴義孝は、妻の綾音に告げる。「タイムリミットだ。結婚前に決めたルール通り、別れよう」。数日後、義孝は自宅で謎の中毒死を遂げる。刑事の草薙と、内海は他殺と見て調査を開始。しかし、捜査は難航。草薙は綾音に心惹かれるものを覚え、内海は単独で湯川を訪ねる。ガリレオ先生の出した答えは、"虚数解"。それは救済の終わりであり、始まりだった。
東野圭吾ガリレオシリーズ特設サイト『倶楽部ガリレオ』|文芸春秋

待ってましたのガリレオ先生最新長編! いやいやいや読ませますなぁ! 物語は低い温度で推移。犯人も動機もわかっている中、その背景がおぼろにしか見えてこないという、ハウダニット形式。パッチワークのようにいくつもの生地が綿密に織り込まれていて、そして描かれた形がこんな物語とはね。相変わらずの完璧なプロットであっちゅー間に読了。

今回は草薙の感情が前に出てきて、ちょっと『眠りの森』を彷彿させる。彼が人間としての本能と刑事としての義務感の狭間で揺れる様子は、さほどまで深くは掘り下げられないけれど、十分に印象的。しかもそれによって内海とのバディ効果が上昇。『容疑者X』もそうだけど、ガリレオシリーズの長編は、数学では割り切れない感情ってのを大事にするから、やはり登場人物の揺れってのが切り離せないわけで、新キャラではなくメインキャラにそれをさせるってのはお見事ですなー。それもこれも、内海って存在があるからこそできることだよね。草薙vs湯川じゃ、前作と同じ構図になっちゃうもんね。うーん巧い!

虚数解とされるくらいの"ありえなさ"も、しかして、ありえるのかもしれないと思わせるリアリティ。ただ、義孝のキャラがあまりに極端すぎるのと、実は綾音の魅力というのが表現しきれていなかったってのは、残念と言えば残念。正直、草薙が惹かれるほどのムードは感じられなかったよね。まあ、何よりもストーリーが面白いので、ガリレオファンは十二分に満足できるはず。個人的には、映画化してもらってもいいです。いかん、綾音は永作さんイメージだなー。

てことで、短編集『ガリレオの苦悩』のほうは文庫待ちの予定。誰か持ってたら貸してほしーなー。内海がどうやって登場したのか気になるぜ。
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by april_hoop | 2008-10-27 00:00 | 出版 | Trackback | Comments(0)
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