2008年 12月 02日
これで本屋大賞なのかー。伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』読了。金田首相の仙台凱旋パレードの日、事件は起きた。それは、謎の爆発による首相暗殺。まさかの非常事態に厳戒態勢がしかれ、浮かび上がったのはある1人の容疑者。しかし、その容疑者は何者かによって濡れ衣を着せられていたのだった。 伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』|新潮社 うーんうーん、やっぱ伊坂幸太郎と相性悪いのかなー。どーしても深くのめりこめないのです。相変わらず話の構築は上手で、こいつがここで出てくるかーという驚きは多々あるんだけど、逆にそれが、びっくりさせるためだけに存在してしまっているような気がするの。キルオにしても保土ヶ谷にしても、ちょっと都合よく登場しすぎな気がすて、なんか世界が窮屈に感じました。全員が全員役名ありとなると、それはそれで逆にしんどいのね。あと、もはや伊坂プロットはそれ前提みたいに構えて読んじゃうってのもあるね。 で、著者のイズムが込められてると思われる「習慣と信頼」も、胸に響くほどには伝わらず。確かにこの2つをいろんなところに仕込んだのは巧みで、ごはんの食べ残しやエレベーターの押し方もそうだし、宅配ドライバーの決まったルートなんかもそうだけど、なんかそれが人間の最良の部分なのか?と問われると、ドーカン!というより、ドーカナ?な感じ。信頼のほうも、なんかちょっとオレの思う信頼とはズレていたかもかも。もっとアッチィのが好みよ。 第3部のデキはいいと思うし、読み終わったあとにもっかい読み返させる力はあるんだけど、逆に青柳生還がバレてしまうのはちょっともったいなかったよね。ちなみに、いつもより伊坂節は控えめに感じたんで、ちょっと本人も飽きてきたのかな、なんて思ったり。と同時に、伊坂節を弱めたってことが、キャラクターが立ちきってなかった要因なのかなー。伊坂作品の人物はおぼろげに姿かたちは見えるんだけど、言葉づかいがいちいちうますぎるからか、心があんまり見えてこないんですよね。そして生きていて欲しい人がけっこう死んでしまうのも悲し。 ページをめくらせる力のわりには、いまいちあとを引かない伊坂小説。でも、まだ他の作品も読みたいとは思う摩訶不思議。映像化目白押しの伊坂作品ですが、こいつも「習慣と信頼」を柱にして、時間軸を操りながらしっかり作ると面白くなりそうです。青柳役は…ブッキーあたり?
by april_hoop
| 2008-12-02 00:00
| 出版
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ツナガール。1min.で読めるがルール。管理人エイプリル(1977年生まれ)の日々雑感エトセトラがどこかで誰かと何かをコネクトしてユナイトすることを願いつつ、であーる。 by april_hoop information
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