2008年 10月 08日
知ることですね、まずは。宮崎あおい&宮崎将『たりないピース』読了。俳優の宮崎あおい&将の兄妹がインドを訪ねる。そこで出会ったスラムで暮らす人々、カースト制度、ストリートチルドレン。それぞれが日記をつづり、夜は、見たもの聞いたものについてスタッフをまじえて語らう。サスティナブルな社会をめざす2025プロジェクト発のフォトエッセイ。 2025 まず、インドという国。オレは行ったことがなければ、明確なイメージもほとんど持っていない。貧富の差がものすごく激しいとか、農村地帯はかなり汚いらしいとか、そんなぼんやりした情報だけ。この本を通しても、その実態はいまいちつかめなかったなー。2人の視点を通してインドをのぞくわけだけど、それだけに終わってしまっていて、2人が見たもの以外のいろんなインドの今(といっても刊行は2年前)が見たかったぜ。 2人が感じる戸惑いや、現実を見ても何もしてあげられない無力感というのは、しごくまっとうだと思う。はたして彼らが見たものはインドの何を表しているのか。比較するものを持たない彼らと、うちらは多分同じ感覚でそれを受け止めることになる。それはそれでいいんだけど、もう少し全体を俯瞰するフォローをくっつけてほしかったぜ。じゃないと、現地に行っていない読者は、兄妹よりさらに狭いミクロのインドしか見られないじゃない。もちろん、それは他で調べろって言われたら返す言葉ないけどさ。もう少し読者にやさしくてよいのでは。 あおいちゃんは、『祈り』をきっかけに、世界の今に興味を持ったってのはよく聞く話で、それはこの本の中でもひとつのキーワードとして出てくる。彼女はすごく感覚的に生きているタイプっぽいから、今はまだ中国での原体験が強すぎてそれをどこに向けていくか模索中といった感じ。その場限りの金銭の受け渡しがインドのためになるのか、とかそういう議論は的を射てるとは思わなかったけど、でも考えてみるのは重要だよね。そして、なにより、その体験を通してもっと知ろうとしなくちゃいけないんだろうな、と。 にしても、本の作りとしては、かなり物足りなかったな。これでは問題提起としても弱ければ、2人の日記も生の感情ではあるんだろうけど、筆力の不足は否めず、読者になにかを感じさせるレベルにはないように思う。写真はけっこう多いけど、それは今回の企画の主ではない気がするし、タレントエッセイとしてもちょっとボリュームに欠けるよね。この本に足りないピースをまず考えてくれよ、なんて皮肉なことも思ったり。 なにはともあれ、グローバルな視点でものごとを捉えるためにも、小さなきっかけにはなるのかも。持続可能な社会のために何ができるのか。まずは知ろう。そして考えることにしよう。 感想_Love,Peace&Green たりないピース2
by april_hoop
| 2008-10-08 00:00
| 出版
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ツナガール。1min.で読めるがルール。管理人エイプリル(1977年生まれ)の日々雑感エトセトラがどこかで誰かと何かをコネクトしてユナイトすることを願いつつ、であーる。 by april_hoop information
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