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2014年 11月 18日
感想_ソロモンの偽証(第2部 決意 下巻)
感想_ソロモンの偽証(第2部 決意 下巻)_c0160283_15402864.jpg宮部みゆき『ソロモンの偽証(第2部 決意 下巻)』読了。裁判に向けて、検察側、弁護側、双方の調査が進む。大出のアリバイと家の事情。柏木君の学校内での行動。少しずつだが新たな情報が集まる中、大出の父親が逮捕されるという事態に。衝撃の展開に動揺を隠せないメンバーだったが、大出はあらためて身の証を立てる決意をする。そして……樹里に声が戻った。
宮部みゆき『ソロモンの偽証』|特設サイト|新潮社

裁判の準備の数日間。数日間とは思えない情報量と行動力だなってのはさておき、めまぐるしくイロイロ起きすぎて、ちょっと混乱というか整理しきれなくなってきたわ。まあそれはさておき、最大の焦点は、神原はなにを隠しているかの1点だね。

小林電気店の電話ボックスにいたのは神原でキマリだとは思うけど、それがなにを示しているのか。彼と柏木にはかなり深いつながりがあり、柏木の死に直接関与していることも間違いない。だから責任を取りたいと思っている。この裁判で真相を明かすつもりなのか、彼にもわからないことがあるのか。そもそも神原の過去も隠されている。彼の語る両親の事件は、完全な嘘ではないかもしれないけど部分的に改変しているような気がする。

一瞬、彼の両親にあったなにかが、大出家の商売とからんでいて、大出家への復讐を考えているんではないかって思ったりもしたけど、その線はさすがに考えすぎか。もしくは、本当は自殺しようとしていたのは神原だったのではないかとも思う。柏木は本当はそれを止めようとしていたんじゃないだろうか。そこでなにがしかの行き違いがあって悲劇が起きたとか。そして、樹里は本当になにかを見ていたのかもしれない。ただ、彼女がついた嘘は、デタラメをでっちあげたことではなく、誰かを見たを、大出を見た、とすりかえたことなのではないだろうか。いやでもさすがに神原がそこにいたというのは考えにくいか。いよいよ真実がわからないな。そもそも真実ってそういう性質なものなのかもしれない。少なくとも、神原もまた救いを求めていることだけは確かだ。誰かに、なにかを伝えたがってる。彼を救えるのは、涼子しかいないという気もする。

そして、柏木君自身のことについても、実はまだほとんどなにも語られていないということをあらためて思い出しておかなくては。序盤の兄の心象だけで、限りなくグレーな印象を持っているけれど、それってかなり偏った認識だな。やっぱり彼も辛かったのではないだろうか。頭とは違って思うようにはならない体。健康で、自由な翼を持っている兄へのコンプレックスもあったに違いない。自分もそんなふうに動けたら。でもその願いはかなわず、両親の束縛からも逃れられず、心は歪みを抱えていった。もしかしたら、柏木の部屋をひっくり返したらなにか出てくるんじゃないだろうか。大量の本の間からとか。なにかメッセージが残されているような気もする。塾の先生もやっぱりなにか知っているような気がする。

いよいよ裁判が始まる。どんな真実が飛び出すんだろう。どんな結論が出るにしても、彼らの未来が開けてることを願うばかりだ。カギを握ってるのは茂木ちゃんかもな。探偵事務所には頼みづらいけど、茂木ちゃんは自由に動けそうだから。

第1部 事件 上巻 第1部 事件 下巻 第2部 決意 上巻 第2部 決意 下巻 第3部 法廷 上巻 第3部 法廷 下巻 書き下ろし『負の方程式』

by april_hoop | 2014-11-18 00:00 | 出版


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