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2012年 03月 26日
コンドルズは跳びまくってゆく!
コンドルズは跳びまくってゆく!_c0160283_0371046.gifついにコンドルズの公演を観てきた!@世田谷パブリックシアター。楽しくて楽しくて、最後にはなんだか涙が出てしまいそうなほどに楽しくて。なぜ今まで知らなかったんだ〜。ずっとオレは人生を損していたんだな。この遅れ、取り返さずにおくべきか〜っ!
CONDORS official website

よく知らないけどダンス集団、というぼんやりイメージしかなくて、どんなことするのか興味津々。「サラリーマン体操」とかBEAMSの「恋をしましょう体操」とかは知っていたけど。いよいよ開演。オープニングは、学ラン姿でなにかの部屋に思い思いに座る男たち。それぞれが細かい動きをしていて、小さな動きから徐々に徐々にテンポアップしてダンス要素が加わっていく。って、あ、今回のタイトルは『狼たちの午後』だった。途中、ゲストの安田美沙子が登場して『赤ずきんちゃん』の朗読を始め、物語にあわせた動きが追加されて次の幕へ。ほか『3匹の子豚』のアレンジも差し込まれたり。意味はよくわからないけど、へーなんか、興味深いな。

と幕が変わったら今度は全然違うテンションで、NY世田谷ブロードウェイのオーディションという設定のコント&ダンス。デブキャラ中心におかしな連中がオーディションしていく。アドリブも加えられながらテンションの高いネタを展開していくのだけど、おもろい! 客席は一気にあったまって声出して笑い出すほどのスパーク。笑いは笑いを呼び、みんなの笑いが軽くなってるところに、さらにボケを重ねまくってのみごとなテクニック。「将来設計」はサイコーだったなー! このオーディションねたは連続したストーリーになって3幕ほど展開していく。「SET UP,GET YOUNG!」(←せったっぷげっやん←せったっげっや←せ・た・げ・や←世田谷www)って、あー、オレ江東区民だ〜!

とまあ途中からは笑いっぱなし。天井からモニター写してやるやつも、フラフープ&マシュマロ投げも、近藤さんのお歌も、やることなすこと全部おもしろい! 世の中にはまだこんなにも知らないおもろいことがあるんだな〜とすっかり感動してしまったわ。温まりまくっていよいよラストかというところで、映像がさしこまれる。コンドルズメンバーがどっか海外に行っている。どこだろう? ヨーロッパ? アフリカ? いや中東?? あれって嘆きの壁?? イスラエルか! え、なにこれ、なんだか急に深読みしちゃうモード。こういうコンテンポラリーダンスってどういうことを考えて作っているんだろう。ただ笑えればそれでいいのだろうか。おもしろい動きであればいいのか。物語は必要なのか。果たしてメッセージは? 考えがまとまらにうちに、近藤さんのソロパート。四方は幕で囲われている。あれは壁なのだろうか。壁に仕切られた部屋でもがいているのだろうか。走る、跳ねる、回る。やがて他のメンバーも入って来る。独りじゃない。踊っている人間は独りじゃなくなる。例え四面が壁に覆われていたとしても、独りではない。それはメタファーなのか。それともただの踊りなのか。最後は再びオープニングのシチュエーションに戻ってフィニッシュ。フィナーレには笑いはなく、あくまで踊りで勝負って感じだったなー。

いやね、さんざん笑って神経がゆるんでいたからか、カウンターのギャップになんだか泣きそうなほどに打ち震えたわ。とても面白かったし、それを通り越した感動があった。1度見たくらいじゃ彼らのなにがいいかなんて語れないんだけど、楽しかったのです。そして、オレはやっぱり身体を通して感情移入しているんだって気づいた。ダンスという身体的エンターテインメントの、飛ぶとか回るとかいう動作に、なんとなくオレの体が脳内で同期していくんだわ。筋肉の弛緩とか、呼吸の乱れとか、張りあげる声とか、そういうのオレも知ってるから。その動作に潜んでいる熱量とか興奮度を知っているから共鳴して共振してしまって、どうしようもなくシビれるんだよな〜。どんな感動もそこに根底があるわ、オレの場合。

長くなっちまったけど、本当に本当にすばらしい2時間ちょっとだったよ。次は夏に公演があるみたい。絶対行きたいっす! あと超絶余談(というか蛇足)だけど、カーテンコールって受けてみたいよね〜。ゲストの安田美沙子の馴染んでなさもよかった。というか安田美沙子にはランナーシンパシー共有体と勝手に思っているので何しても多分好意的に受け入れてしまうわ。

家に帰ってから知りましたが『狼たちの午後』ってのはシドニー・ルメットの昔の映画タイトルにもなってるのね。あらすじ読むと微妙にオマージュされた設定が入ってますわ(手術費用ほしさに、ってくだり)。噛めば噛むほど、コンドルズ。こりゃー癖になること間違い無し。

by april_hoop | 2012-03-26 00:00 | 文化


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