2011年 07月 30日
ヒーローの名は名和晃平。1975年生まれの現代美術作家。てことで今、現代美術館でやっている個展「SYNTHESIS」に行って来たのです。いやいやいやすごく良かったなー。面白かったなー。公立美術館では初の個展だそうです。 KOHEI NAWA - SYNTHESIS 10個くらいの部屋を巡り歩く展示方式で、各部屋にはさまざまなインストレーションが。まずはエントランスのドローイングでジャブ入れて、最初の部屋は見えてるようで見えないようで、実体の掴めないプリズム作品。結局ここに実体はあるのか、ないのか。見えているものが本当にそこに存在するものかどうかはわからないぜ?と軽くボディに入れられる。お次がメインビジュアルにもなっているこの、鹿の剥製に無数のガラス玉を貼付けた作品。まず初見、美しい。しかしそのガラス玉に包まれた向こうのもの言わぬ実体は何を意味しているんだろう。2匹が双子のように一体になってるものもあるし、きれいなのにぞわぞわするんです。 その先も巨大なポリゴンの部屋、ぼた雪のようなものに覆われた彫刻の列、ドットの配列が無限世界を創り出すハコ、殺されたゾンビの肉片みたいなの、宇宙スケールの謎のオブジェ、動き続ける映像の床、そして弾け続けるバブルなどなど。とにかくどれも、パッと見が楽しい。なにかの実験みたいにも見えるし、デジタルを使った創作はどこか無機質さも漂わせていて、けどなんか惹き込まれる感じ。なんなのこの感じ。 作品にはキャプションがつけられておらず、鑑賞者はまずなんの情報も与えられないままその作品たちを観る。そして一周したあとに、一枚のタブロイドが渡される。そこには、作品解説と受け取れるテキストが乗っかっている。なるほど、そういう意図だったのか!と膝を打ちながら二周目ができる仕組み。もらった情報をもとに、なるほどこれはこういうことだったのか、と観て行くわけですが。 だけど、その前提としてしまいそうな情報すらも疑え!てのが作者のメッセージなのではなかろうか。というのもキャプションの一部だけど、情報社会への警鐘的なものを作品に織り込んでいるとしたら、やっぱり与えられた情報によって解釈を動かすよりも、素直な一周目の感性を信じたほうがいいのか?なんてことも思ったりして、ただいずれにしても自分の頭で考えたり、自分の心で感じたことこそが答えだぜ、って言われてるような気分。 いやしかし、本当に面白い展覧会だったな、これは。今出てる美術手帖が名和さんの特集してるから観てみようかなー。なんでも村上隆や奈良美智に続く世界的スターかもしれないってゆーじゃないか。会期は8月28日まで。時間割いて観に行く価値あるでしょう、これは!
by april_hoop
| 2011-07-30 00:00
| 文化
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