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2011年 03月 19日
語らずに語る1枚勝負!
語らずに語る1枚勝負!_c0160283_21222756.jpg前から行きたくて行ったことなかった東京都庭園美術館に行って参った。自粛はもうごめんだー!ってのと(ロクに自粛してないけど)、春らしい陽気に誘われて。けっこう多くの人がいましたよ。「20世紀のポスター[タイポグラフィ]」展。
東京都庭園美術館:展覧会情報
節電のため17時閉館でした。

お題はポスター。20世紀のそれは、だいぶいろんな変遷をたどったみたいで、昔ながらのイラスト勝負のポスターに始まり、段々と広く画一的に告知するためのゴシック体が生まれてデザインの質が大きく変わり、でその後ポストモダンみたいなのが出て来てイラストとテキストが融合。そしてパーソナルコンピュータの登場によりDTPという手法が生まれ、ポスターデザインはよりバラエティに富んでいく、っていうのを時系列に沿う形で100点以上展示。ヨーロッパ、アメリカ、日本のポスターがメイン。

戦前戦後くらいのポスターはレトロな味わいがあってユニーク。60年代くらいのも、オシャレだわ。80年代くらいになると、当時は斬新だったんだろうね、という感じで逆に古くさく野暮ったく感じられる、という流れ。面白いですなー。

さて、ポスターてのは限られたサイズの中の平面一枚で勝負しなくてはならないメディア。タイポグラフィとなると言葉をどうデザインするかなわけですよ。大きくしたり小さくしたり、イラスト混ぜたりデザインで崩したり。その中で展開されるのは、文字が表す情報の背景やストーリーをいかに雄弁に語れるか。しかしそのために説明を費やすのではなく、あくまでデザインで魅せるってのがすごいよ。おもしろいよ。色使い、配置、文言、その他さまざまな要素が折り重なって答えなき答えを探していくその作業。うんうん、ぐっとくるなー!

時に突拍子もないデザインだったり、膝を打つような巧みなレイアウトだったり、なんにしてもいろんなモチーフがあってこういう結論に辿り着いてるんだろうなーとか、その製作のプロセスを想像するのも楽しい。アート作品とは違うから、ただなんとなく降ってきたイメージを具現化しました、ってことは少ないんじゃないかと思うの。なにかしらモチーフがあったり、ロジックがあったりしてそのデザインになってるのかな、と思うわけで、だとしたらそういう作業はすごく参考になるなー。ただ見た目の心地いいように、だけじゃすまされないわけで。

私などはついつい、言葉を費やして語ろう!としてしまいがちだけど、そればかりが伝わる方法じゃないんだよね。文字が多くなると認識に時間もかかるし、そもそも読みたくなくなっちゃうかもしれないし、見た目も悪い。そうではなくて、短いワードを効果的に魅せて興味を惹く方法ね。一枚の紙切れの中に無限の可能性を感じるよね。Tシャツとかもそうだけど、こういうメディアってのはおもしろいなー!

と同時に、庭園美術館の建物も素敵だったし、まだお花はあんまり咲いてなくても日差しの温かな庭園も居心地よかったし、楽しく拝見できました。1時間ほどでさくっと見終えるボリュームもよかったけど、裏を返すともう少したくさん見たかった気もする。あと、時代をざっくり切ってあるだけだったから、もう少しきちんと系統立てて見せてもらえたほうが教養という意味ではプラスになったろうにな。ま、それは望み過ぎですかね。

エディトリアルデザインに携わる人間として楽しく拝見しました。会期は27日まで。あと一週間ですよー!

by april_hoop | 2011-03-19 00:00 | 文化


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