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2010年 09月 16日
感想_雷桜
感想_雷桜_c0160283_0163969.jpgおもしろいのに少しちぐはぐ。宇江佐真理『雷桜』読了。瀬田村の庄屋の次男として生まれた助次郎は、将軍の血を引く江戸の清水家に仕えることに。気難しく癇持ちの殿、斉道に、助次郎は妹の話をする。お遊という名のその娘は、3歳になった年に何者かによってかどわかされて以来行方知れずであったが、瀬田山の中で生きているという噂もあった。斉道はその話にいたく興味を示し、そしてそれは許されない恋の始まりでもあった。
雷桜: 文庫: 宇江佐真理 | 角川書店・角川グループ

ピンと来ないあらすじでごめんなさい。この小説、身分違いの恋でくくるのは簡単なんだけど、そこに辿り着くのは随分と話が進んでからなんだよなー。そのあたりの構造がちょっと変というか、全編通して最もきちんと描かれるのは、助次郎で、こいつはなかなかに魅力的な男なのですよ。かといってこいつの目線で話が語られるわけでもなく、なんか座りが悪い。

でもストーリーは普通に楽しめるのですよね。読み始めはどうでもいい感じかと思ってたんだけど、意外に前のめりになれたし。ただやっぱり、助次郎の描写に比べると、遊と斉道という核になるべき二人にかけられる分量がやけに少なかったのはなにかの狙いなのだろうか? ここでもう少し盛り上げていただかないと、悲恋の感じはあまり出てこなかったんですよね。ちょっともったいない気がする。

人におすすめするほどでもないけど、読んで損はない感じで、フィクションとしてエンターテインメントとして、無難に楽しめるかな。岡田将生×蒼井優での映画化の方はやや物足りない感じでしたけれども、ま、それはおいおい。

感想_雷桜(映画)

by april_hoop | 2010-09-16 00:00 | 出版


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