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2010年 04月 30日
感想_Railway Stories
感想_Railway Stories_c0160283_2355096.jpgなんか違うな。大崎善生『Railway Stories』読了。1974年、高校3年の夏。クラゲの世話をしていた僕は棚田に淡い恋心を抱いていた。札幌と小樽を結ぶ電車ですれ違ってしまった僕たちは、2度と出会うことはなかった。遠い記憶という線路をたどった先で密やかに呼吸を続ける10のストーリー。
Railway Stories :大崎 善生 | ポプラ社

最近電車づいていることもあって、タイトル買いで手に取った一冊。大崎善生は随分久しぶりだなー。でも、期待してたテイストとはちょっと違ったな。電車はそこかしこにちらりほらりと出てくるんだけど、かなりの脇役。電車ってさ、すごくノスタルジーを誘うアイテムだと思うんだよね。だから電車をうまく使った七色の物語が読みたかったわけ。だけど、実際に開いてみると電車はさほど活かされてなかったかなー。

最初の何本かの物語ではそれなりにキーアイテムだったはずの電車も、だんだんその役割が薄れていました。しかも、全部が全部ノスタルジックでセンチメンタルな回想物語だったのもちょっと物足りない。同じ味が最初から最後まで続くんだもん。飽きるわ、そりゃ。もっと新幹線あればローカル線もあり、海外の電車もあって地下鉄とか路面電車とか、とにかくレイルウェイを名乗るならばもっともっと電車ならではのところを衝いてほしかったよ!ってのは勝手きわまりないリクエストですよね。

大崎善生はセンチメンタリストな作家さんだとは思うけど、表現の趣向がすっかり肌に合わなくなったなー。『パイロットフィッシュ』は随分お気に入りなんだけども、どうも比喩にしろ修飾語にしろ、どれもピンとこなくって。春樹チルドレンなことは存じてますが、素人がマネしたみたいに思えちゃった(ごめん)。

ライトですぐ読めるけど、あんまりオススメはできないかなー。

by april_hoop | 2010-04-30 00:00 | 出版


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