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2010年 01月 01日
感想_1Q84 BOOK1<4月-6月>
感想_1Q84 BOOK1<4月-6月>_c0160283_2214870.jpg圧倒的過ぎる…。村上春樹『1Q84 BOOK1<4月-6月>』読了。青豆(これが本名)は首都高速で渋滞に巻き込まれていた。タクシーから流れて来たヤナーチェックの『シンフォニエッタ』がどこか彼女をざわつかせる。なぜ私はこの音楽がヤナーチェックだとわかるのだろう。一向に動かない首都高で、タクシー運転手が一般には知られていない非常階段で降りることを提案して来た。「ものごとは見かけと違います」というコトバを残して。
村上春樹の最新長編小説『1Q84』|新潮社

去年やり残したことの筆頭である本作を正月早々に手に取りました。ああ、圧倒的なまでの物語世界。すぐに惹き込まれてしまいました。が、けっこう時間はかかりました。少し違和感があるんです。なんとなく抱いていた村上レトリックと少しばかり様子が違うのではないかと。あまりにも生っぽい。ファンタジーはベースにあるのに、ひとつひとつのエピソードがなにかを直接的に示唆しすぎているような気がして。

例えば「さきがけ」にしてもそう。カルト団体がモチーフになること自体はなんとも思わないけれど、あまりにも現実世界と身近な題材すぎて、まるで昨今の原理主義を名指ししているような気分にもなってしまう。親子の虐待関係にしてもそう。いやってくらいに今という時代性を反映しすぎているような気がする。あくまで設定は1984年だっていうのに。そして文壇の社会と小説家の行為にしてもそう。私小説にすら見えてきかねないよ。いつものようなつかみ所のなさが少なく、すべてにおいて画が浮かびすぎるというのかな。もってまわった言い回しや、もったいつけるようなくすぐりを抜きにして、ぐいぐいとストーリーを進めてくる気がする。しかも、同じ事象について何度か説明を重複させてかなりわかりやすくしているようにも思う。すべては仕掛けなんでしょうか? 村上春樹は怒っているのか!?

という違和感(ごく手前勝手な感覚だけど)を抜きにして、村上レトリックは健在だし、キャラクターも展開も文句無しに面白い! 『世界の終わり〜』的に交錯するパラレルワールドは、かなり密接にリンクして来ていて、はたしてリトル・ピープルとは? 空気さなぎとは?? 青豆と天吾の世界はどうつながっているのか? いよいよ過去の改編という核心めいたところに触れ始めたところでBOOK1は終了。ああ一刻も早くこの先が読みたい!! 一気にBOOK2に突入したいと思います。

感想_1Q84 BOOK2
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感想続き_1Q84 BOOK3

by april_hoop | 2010-01-01 00:00 | 出版


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