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2009年 12月 09日
レッドスターを忘れない
レッドスターを忘れない_c0160283_17256.jpg「赤星引退」
どうせ東スポの飛ばし記事だろ?って思ったら夕刊フジの見出しだった。え、え、そんなわけないよね?と半信半疑というかほぼ全疑いでネットを見るとヘッドラインのトップに載っている。まままままじでぇ!? 怪我の完治が見込めないことによる、苦渋の決断か…。ファンにとっても苦渋すぎる…!
赤星憲広RedStar53

オレが言うことでもないけど、素晴らしい選手でした。足の速い小兵で、プロの世界で大成したのはほんの一握り。その数少ない一人です。タイガースファンに愛されたのはもとより、敵チームファンにもその才能を認められた選手だったのではないでしょうか。赤星の入団当初、3割打てるようなバッターになるとはまったく思ってませんでした。日本のプロ野球選手の運動能力・サイズの平均値は日本のアスリートの中でもおそらくダントツなのではと思ってるんで、体のハンデのかなりある世界だと思ってます。飛躍しすぎだろうけどNBAの中の田臥くらいに。でもそんな浅はかな見込みを跳ね返す赤星の活躍に惚れ惚れしました。

守備/走塁は心配なかったけど問題は打撃。赤星は、自分の特性を最大限に活かすバッティング技術を身につけました。引っ張るには非力なため、とにかく左方向へ飛ばすこと。そのために狙い球をしぶとく待つこと。赤星のカット技術は相当なもので、追い込まれてからストレートは全部カットして変化球を左に転がす、またはその逆によって見事にヒットを打つんです。近年は猛烈な赤星シフトで、三遊間は狭く浅く、レフトも相当浅いのに、その間にボールを落とす技術を身につけてました。たまに引っぱり専門の外国人バッターに極端なシフトを敷くことがありますが、赤星のヒットゾーンも同じくらい限定されていたのでは。いっとき内角を引っ張るバッティングも上達させたにもかかわらず、最終的にはやはり左への打球を極めてったように思います。これぞプロフェッショナルの技術だな、と思いました。追い込まれてからも粘れるので四球も多かった。

まじめな性格で、車いすの寄付など社会貢献への意識もある。なにより負けて悔しいという想いを強く抱くその情熱が見る人にも伝わる。そりゃーファンにも愛されるってもんです。球場に無数の赤い★が揺れる情景は甲子園の風物詩でした。2003年も2005年も赤星なくして優勝はなかったのでは。2003年優勝を決めたサヨナラヒットは一生忘れられないシーンだなぁ。赤星が出塁即盗塁、ワンヒットで1点、というシーンをどれほど見たことか。こんな驚異、ないよね。

赤星に替われる人材は当分出ないと思われます。ここ数年センターとレフトはまったく心配する必要のないポジションでしたが、ここにきて一気に2枚ともゆらいでしまうとはね。まあ来年のことはさておき、今は赤星引退というあまりに辛い事実に胸を痛めつつ、しかしこれだけの感動を与えてくれた小さな赤い彗星に最大のお礼と敬意を示したいと思います。レッドスターを忘れないぜ!

by april_hoop | 2009-12-09 00:00 | 体育


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