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2008年 08月 07日
感想_カウントダウンノベルズ
感想_カウントダウンノベルズ_c0160283_034699.jpgうまさはあるけど。豊島ミホ『カウントダウンノベルズ』読了。週刊チャートをにぎわすのは、同事務所の歌姫同士の対決、新進バンド、DJユニット、アイドルグループ、ソロシンガー、往年の人気バンド、解散が決まったバンドなど。めざす方向も、現在の立ち位置も違うアーティストやアイドルが、ただ数字で並べられたその裏側にはたくさんのドラマが眠っていた。J-POPシーンを舞台に贈るカウントダウンストーリー。
カウントダウンノベルズ|豊島ミホ

てことで、ランキング1?10位までのアーティストたちの物語でつないだ10篇の連作短編集。試みが面白い! 一話ごとの登場人物にキャラがたってて、背景もしっかりしている。歌姫で居続ける苦悩。開けていく未来。バンドの悲哀。原点と出会いと別れ。などなど。決して音楽的な側面だけを描くんではなく、あくまで職業人として、そして一個人としての、色とりどりの物語になっております。短編としても、連作集としても秀逸?。

だがしかし。いまひとつ熱を感じないのだよなー。おもしろいし、よくできているんだけれど、心を震わせるようなものは見当たらないの。豊島ミホ、3冊めだけれど、いつもそうなんだよね。共感もできるし、理解もできるんだけれど、どうにも揺さぶられない。文章は上手だと思うし、頭には届くけど、心ん中までは入ってこないというか。いまいち豊島ミホが見えてこないせいか、のめりこむにはいたらないんだよなー。

それは単に著者との価値観の違いなのか、それとも彼女が作品の中に自身を込めすぎることを意図的に回避しているのか。って短編だからしょうがないのか? 今度は長編作品を読んでみたいもんです。最後にもう一度いうけれど、この本、面白いことは面白いと思いますヨ。

by april_hoop | 2008-08-07 00:00 | 出版


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